【僕のヒーローアカデミア】命懸け少年 Part4 (ページ14)

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生命の音ページ14

至る所から爆音が轟く。雄叫びも、悲鳴も。

気紛れに進んできた道を見ても、薄暗く続いた道程は影っている。薄気味悪く感じて。

…何となく、その胸元に寄りかかってみた。

とくん。とくん。一定のリズムで刻まれる命の廻る音。

治｢…何だ｣

息を吸い込んで少し膨らむ。そして萎む。生きているからこその現象。

死んで、くれるなよ。
僕には貴方しかいないのだから。

貴｢…僕の腕は｣

気になった事を言ってみる。しっかりと抱えられているのはわかるが、身体を預けているだけで少し不安定だ。掴まりたいが、掴まる為の手(･)段は無かった。

治｢…悪いが置いてきてしまったな…まぁ安心しとけ、俺がいる限り永遠に失ったまま、なんてことはない。｣

…この人は個性を嫌うくせに個性を振りかざす。矛盾しているなんて、指摘する必要は無いだろうか。

無駄にこの肉を失った。そんな事を言うのは今更が過ぎると笑われてしまうだろうな。

死からの蘇生まで機能する自分の細胞でも無限には湧か無いだろう。限りがあるとは怖いものだ。失ったら終わりなのだから。すべて。

貴｢…なら、離れないでくださいね……僕から、逃げないでくださいね…｣

とくん。とくん。と心臓の音。それが少し、ほんの少しだけ、速くなったような気がした。

何でだろうと聞く前に急な睡魔に襲われて気を離した。

僕の最も恐れる現実が、すぐ後ろに迫っている事を知らずに。呑気に、眠ってしまったのだ。

通｢すみませんね…やっぱ少し話聞かせてもらっていいですか？｣

治｢あの時の…｣

～side:通形ミリオ(仮)～

通形ミリオは死合廻輪の存在を知っていた。それは、悪いイメージと共に。

最近現れた危険度EXの敵:死柄木弔。あろう事か国内最高峰の英雄育成機関雄英高校ヒーロー科A組生徒･死合廻輪はそのカリスマ性に惚れ込んでいると。

そして死柄木はその気持ちを利用して内通者としていると。

冗談と笑い飛ばすにしてはこの学校は今年に入って危機に晒され過ぎた。

噂の出処がどこだかは知らないが、それにしても何故学校はその謎の脅威に対して動かないのか。

廊下を歩く彼とすれ違った事があった。

周りの人間は彼の姿を見るなり、小声で耳打ちし合ったり奇異に満ちた視線を飛ばすなどをしていた。誰がどう見ても好意的には見られていない。

しかし、当の本人は何も気にしていない様だった。

彼の見る先はいつでも虚ろだった。

この学園にそんな人間がいるのかと、内心恐怖した。