【Genshin】ならばあなたと生きましょう (ページ28)

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ベネットは、僕の幸せになれると断言したことに対して、不思議そうに首を傾げた。

「幸せになれるって、A……一体どんな根拠があってそんなことが言えるんだ……？」

「僕が君を愛しているからだ。愛は運をも超える。それに加え、僕は脅威的なまでに幸運でね。君の不幸を打ち消すことだってできる、今までずっとそうだったように」

「……A」

なにかに気づいたのか、ベネットはハッとした表情になった。
そうだよ。宝箱の中にモラが入っていたり、聖遺物が入っていたり、稀に武器が入っていたりするのは、僕の幸運体質が作用していたからだ。

「僕なら、絶対にベネットを幸せにできる。他の誰がなんと言おうと、幸せにしてみせる。
「君をもう二度と、不幸の前に晒させない。神に愛されなかったなんて言わせない。怪我もさせない。
「誰が君のことを非難しようとも、僕がそれを跳ね返す盾になる！僕は1人の人間として、愛する君に幸せになってほしいんだ！」

僕は立ち上がって、大きな声でベネットに宣言する。それをなんだなんだと取り巻く人がいるのだって構わない。
覚悟。この僕の宣言はその2文字に最も相応しい。
ずっと彼と共にいる。片時も離れない。彼を守る盾になる。この氷元素の瞳に誓おう。
死ぬ時は一緒だ。2人の運が尽きた時だから。

ぽたり、ベネットの頬に一線が伝う。その後、とめどなく涙が溢れ出た。僕は彼の返事を待つ。
泣いてるだけじゃ何も伝わらないよ。僕は、ベネットからの言葉がほしい。
僕の言葉が、覚悟が、迷惑なのかそうじゃないのか。

「いいのか、A」

「構わない。愛するベネットの為なら」

「本当に危険な目に遭うかもしれないぞ」

「そうならない為に僕がいるんだ」

「……本当に、俺のことが」

「大好きだ。愛してる」

自然と、自分が柔らかく微笑むのがわかった。目の前の彼を、誰よりも純粋で美しい涙を流すベネットを、愛おしいと思っているから。
ベネットは僕の返事を聞いて、なにか決まったように手の甲でゴシゴシと乱暴に涙を拭った。

それから、同じように立ち上がって僕と向き合う。

「俺も……。俺も！ Aの事を愛してる！」

ワッ……と、ギャラリーから歓声が湧き上がった。それと同時に、ぶわり、とベネットの声を遠くまで届けるように強く風が吹いた。

──バルバトス様からの、祝福の風かな。

僕はギュッと、ベネットを抱きしめた。