【Genshin】ならばあなたと生きましょう (ページ14)

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婆さんの葬儀から1週間が経った。あっという間だった。
ほぼ毎日、ガキが尋ねてきては、婆さんの話をして泣いて帰る。これじゃ心が休まるどころの話ではない。
……なぜ身内の私が泣くのを我慢して、話を聞いていただけのガキがわんわん泣いているのか。

あとから考えれば別にどうだっていいことではあったのだが、その時の私はどうもメンタルが随分と削られていて、病んでいて、そして怒りっぽかった。
人前では我慢できたものの、1人になると止められなかった。

「は～っうっぜぇ！孫の前で泣くんじゃねぇよクソっ！！」

ダン、と一際大きな音を立てて酒が入った大きめのひょうたんを机に打ち付けた。私は貧弱だし、神の目も持っていないので、机に傷一つつかなかった。
私は酔っ払っていた。本当にイライラしていた。婆さんに見せる顔がないと思いながらも、どこかに八つ当たりせずには居られなかったのだ。

「……こんな時、ほかの身内でもいてくれれば、こんなことにはならなかったんだろうな……」

ないものねだりをせずにはいられない。どうしても欲しくなってしまった。私と同じ立場にあって、一緒に婆さんの死を悲しんでくれる相手が。
複数とは強請らない。1人だけで構わない。一緒に酒を飲んで、悲しんでくれればそれでいい。

不意に、コンコンと扉が叩かれた。私は確認もせずに、どうぞと大声を上げて通してしまった。これで宝盗団なら、私の命も持ってってほしい。

「失礼する」

凛とした声を上げて、入室したのは鍾離殿だった。残念ながら驚きで酔いは冷めなかったが、ちょっとはまともな思考ができるようにはなった。

「……これはこれは。鍾離殿ではないですか」

「夜分遅くに失礼する。しかし、A殿も関心できないな、簡単に男を家にあげてしまうなんて」

「はは、いいんですよ。あなただから」

私はケロリと笑ってみせた。嘘ではない。
恋愛対象としては見ていないが、鍾離殿は誠実な方だ。だから信頼しているし、変なこともしてこないだろう。物も盗まないだろうしな。
続けて酒をぐびぐびと飲んでいると、突然奪われた。

「っ……！鍾離殿、返していただきたい！」

「いや、ダメだ。大切な話をしに来たのだからな」

大切な話？なんの事だろう、よく分からない。
しかし、彼から注がれた視線から逸らすことができない。威圧感があるようには思えない。でも動けない。