🐥Angel or Devil ページ6
私の彼氏は天使のような存在だ。たまに女の子かと見間違うようなジェンダーレスな見た目と可愛い笑顔。そしてなによりキラキラ輝くそばかすがチャーミングで本当に天使に見える。
そればかりか性格まで良くて知らない人でも困っていたら絶対に見て見ぬふりなんてせず助けるし、誰にでもフレンドリーだ。
そんな彼氏の性格は素敵で自慢できるけど、私には不満があった。
｢Aごめん！友達の相談乗ってたら遅れちゃった！いつも待たせてごめんね｣
｢うん…大丈夫だよ｣
｢A、落ち込んでる？本当にごめんね、今からAの好きなことしよう？｣
こんなことが多々あった。もう予め遅れてくるのを想定した時間を指定して待ち合わせることも多くなっていた。
これが続くとだんだん自分に自信がなくなってくる。わざと遅れているわけでもないから彼に落ち度は無いのはわかっているのだけれど、もう付き合ってられない。
私の家でお家デートをすることになって、ソファでくつろいでいる。ずっと様子を伺っていた私は今だと思い別れ話を切り出すことにした。
｢……私たち、お別れしよう｣
彼は元々大きな目を更に大きくさせて驚いている。この顔を見ると私の決心が揺らぎそうになると思い、サッと目を逸らす。
｢どうして？僕何かした？｣
｢リクスがね、いい人過ぎて私が自分のこと嫌いになっちゃうんだ。自慢の彼氏だったけど、恋人で居続けるには私にはハードルが高すぎたみたい｣
未だに目を合わせられないまま話した為、彼が今どんな顔をしているかは分からない。きっと悲しい顔をさせてしまっている。
｢……じゃあ、僕の悪い部分見せたらいいのかなぁ｣
私が声を発したのと同時に視界がぐるんと回り、視界いっぱいに整った顔が映る。そこには瞳の奥に熱を篭らせて笑みを浮かばせる彼がいた。
初めてみる表情に怖くなり彼の胸を力いっぱい押すけどピクリともしない。
そんな私の腕を取られソファに押し付けられた。そして耳元で囁かれる。
｢僕ずぅーっと我慢してたんだけど、Aがそんなに僕のイケナイ所を見たいなら見せてあげる｣
腕を拘束していた両手が首元に添えられて軽い力で締められる。苦しくなった私が涙を浮かべながら抵抗するのを見て、彼は恍惚な表情を浮かべた。
｢Aかわいい♡僕Aの苦しんでる顔好きだよ♡これからもずっと離さないからね。愛してる｣
天使だと思っていた彼は、とんでもない悪魔だったのかもしれない。
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作者名：むち | 作成日時：2024年2月13日 23時
