👑歪んだ独占欲 ページ4
昨日の夜中に呼び出されたからまたこの家に来てしまった。帰るつもりだったのに。｢今日は一緒に夜を過ごしたい｣なんて可愛い顔で言われたら断れないじゃない。ただの都合のいい女としてしかみたことないくせに好きとか言っちゃってさ。
ヒョンジンはいつもそう。私から甘えたことなんてないのに、て言うか甘えさせてくれる隙すら与えてくれないくせに、私には甘えてばっかり。呼び出したらいつでもくるもんね。私は暇だから。
それも今日で終わり。全部終わりにしよう。
｢ねぇヒョンジン。私の服とか化粧水とか、私の私物ってもうないよね？｣
｢えーしらなーい。Aが思い当たるところにないんだったらないんじゃなーい？何でそんなこと聞くの？｣
｢もうここには来ないから｣
いつもの何気ない会話のように私は宣言した。するとヒョンジンはゲームをしていた手を止めて、こちらをじっと見やった。私も負けじと目を逸らさないでいると、いきなり私の目の前まで来て見下ろされる。
｢それってどーゆー意味？｣
｢そのままの意味だけど｣
｢そのままじゃわかんない。ちゃんと説明して｣
｢だから、もうあんたには会わないってこと｣
｢は？困るんだけど｣
予想外の反応に私は戸惑ってしまう。それが悟られるとこの男にいいように言いくるめられそうだから、表情には出ないようにポーカーフェイスを保つ。
｢ヒョンジン別に私のこと好きな訳じゃないでしょ。なら困ることないじゃん｣
｢でもAは俺のこと好きでしょ？｣
なんだこいつ。顔が良くなかったら殴り飛ばしているところだ。
確かに私はこの男のことを好きだ。でもこの想いが報われないことを痛いほど味わってしまった。もう辛い思いはしたくはない。
｢好きだから、もう一緒にいたくない。あんたのこと忘れるためにあんたからは離れることにしたの｣
その瞬間私の唇が塞がれた。いきなりのことで驚いて身を捩っても男の力には敵わない。しかも後頭部を支えられているため顔を動かす事もできない。
どんどん深くなっていくキスに力が抜けると、そのままソファに押し倒される。
｢おれそんなの許さないから。どうしてもおれから離れるって言うんだったら、離れられなくしたらいいんだよね｣
私のことなんて見てないくせに。何でこんなにも執着しているんだろう。私の奥に誰を見ているんだろう。
お互い幸せになれないんならもう離してくれたらいいのに。
結局私はまたこの男に振り回されるのだろう。
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作者名：むち | 作成日時：2024年2月13日 23時
