🐺地球最後の日 ページ1
2xxx年、ノストラダムスの予言は当てにならないことを知った。
地球は今日滅びるらしい。太陽の欠片が隕石になって地球とぶつかってしまう。ぶつかったら地球はもう無くなってしまうそうだ。人間はもうどう足掻いても助からない。そんなニュースが流れたのはもう1年も前の話だ。
最初こそ馬鹿げた話だと誰も信じなかったが、世界中の季節が無くなりただただ暑い日しか無くなったあたりからもう受け入れる他なくなってしまった。
僕達Stray Kidsも3ヶ月ほど前に各々好きなことをすることに決めた。だから僕は最愛の人と共にこの星の運命を受け入れることにした。
｢チャニ、今日ですべて終わるのね｣
｢そうだね。もう、何もかも、終わる｣
いつもと変わらない微笑みで、いつもと同じ声で話す僕の愛するA。彼女は今日まで1度も弱音を吐かなかった。まるで当たり前かのように人類の運命を受け入れていた。
僕は死ぬのが怖くてたまらないのに。
｢外、見てみて。すごく綺麗ね｣
Aにそう言われて窓を覗くと、夜のはずなのに空が真っ赤に染っていた。そして空から降ってくる小さい隕石が流星雨のように降り注いでいた。
あぁ、世界の終末が始まった。
｢A、愛してる｣
｢私も愛しているわ｣
最期なら沢山伝えておきたい。ここで共に息絶えたらまた来世で会える気がする。だけど僕らに来世がないんだとしたら、今を存分に味わうしかない。
Aが僕の手をそっととる。
｢今にも世界が終わるって顔をしているわ。大丈夫よ、私達が塵になって消えてもこの大きな宇宙が覚えているから｣
僕の手を伝って響く彼女の声を聞いて、彼女の真似をするように僕も微笑んだ。
そしてAに優しく口付けた。
君も怖かったんだね。かすかに震える手を握りながら、一緒にキッチンに行く。
｢A、今日は特別な日だよ。せっかくだからこれを開けよう｣
数年前に買った赤ワイン。特別な日に飲めたらいいねと一緒に買ったものだ。
ワイングラスに空と同じ色をした液体を注ぐ。
そして2人でグラスを傾けてカチンと音を鳴らす
｢｢この星に乾杯｣｣
ワインを飲み干した後は2人で踊り続けた。
周りの人々は慌てふためいているけど、そんな中僕らは狂ったように踊り続けた。ジリジリと皮膚が焼けても関係ない。
きっともう世界は壊れている。
踊れなくなった僕達は抱きしめ合い存在を確かめる。感覚の無い体も開かない目もお構い無しに愛に溺れる
｢｢あいしてる｣｣
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作者名：むち | 作成日時：2024年2月13日 23時
