プラタナスエスケープ【約束のネバーランド】 (ページ9)

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▽8話ページ9

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「おかえり」

『よかった。あまりにも遅いから何かあったのかと心配したよ』

「どうだった？」

レイのその問いにノーマンは間に合わなかったと言った。エマは俯き、一言も言葉を発さずに歩いていく。まさか本当に何かあったのだろうか。

再び声を掛けようと思い一歩踏み出すと「待てA 」とレイに静止をかけられる。

「今日は俺達も部屋に戻ろう。もうママも帰ってくるだろうし…何があったかは明日聞こう」

『 …うん、そうしようか。レイ、ママには門へ届けに行ったこと、言わない方がいいね』

「そうだな。俺達だけの秘密にしよう。ただ事じゃない様子だったし」

レイと挨拶を交し、私も寝室に戻ることにする。

明日テストが終わったら、2人に話を聞きに行こう。

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と、言ったものの…

『 ( なかなか眠れないなあ ) 』

リトルバーニーのこと、エマ達2人のあの表情、間に合わなかったのに手ぶらなこと…何もない方がおかしい。考えれば考えるほど眠れなくなる。

気が付けばもう12時だ。日付が変わってしまう。

水を飲む為にすやすやと寝息を立てるみんなを起こさないようにそっと部屋を出る。エマも眠れているようだ。

まだ10月といえど夜は冷えるな…少し寒い。

食堂で水を飲んでいると1人の足音が聞こえた。レイかとも思ったが歩幅が大きい。ママだ。

「 A？まだ起きていたの？もう12時よ」

『水を飲みに来たんだ。もう寝るよ』

使ったグラスを洗い、元あった場所に戻す。ママにおやすみと声を掛けようとした時「ああそうだ」と私を引き止めた。

ママが私の手首を軽く握り、目を合わせてくる。紫色の瞳が私を捉えて離さない。少し恐怖を覚えるほどだ。

「 A、今日の夜門へ行った？」

『行っていないけど…何かあったの？』

バレている。誰かが門に行ったことが。おそらく私の手を握ったのは脈を図る為だ。

平静を保ち、ママの目をしっかり見つめながら答える。数秒の沈黙。その後、ママは手を離して私の頭から左耳を流れるように撫でた。

「 …いえ、行っていないならいいの。変なこと聞いてごめんなさいね」

『ううん…それじゃあおやすみ』

「おやすみA 」

やはり、何かがおかしい。この10年、ママのあんな表情は見たことがない。何か裏がある。

＿＿あの本は正しいのかもしれない。

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