プラタナスエスケープ【約束のネバーランド】 (ページ7)

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▽6話ページ7

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ガチャリ、と鍵が開いたことを知らせる金属音。玄関を開けるとひやりと涼しい風が足元を抜けた。今年ももう10月だ。

「 A本当に来なくていいの？」

『レイが1人で寂しがっちゃうから待ってるよ』

「オイ」

『気をつけて行ってきて』

バタンと音を立てて閉まった扉。

数秒の沈黙の後、レイが口を開いた。

「なんで行かなかったんだよ」

『あまり多くても迷惑になるかもしれないからね。さ、エマ達の分もちゃんと掃除しないと』

「ふーん」

何か言いたげなレイの視線に気付かないフリをして、私はギルダと共に掃除の続きを始めた。

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『エマ達遅いね』

「 …そうだな」

2人が出て行ってから何分経っただろうか。掃除が終わった今もエマ達は帰ってきていない。ギルダはとっくに部屋に戻ってしまった。

届けるだけならそろそろ帰ってきてもいい頃なのに。

それにしても…

『引っかかるな』

「何が？」

『リトルバーニーだよ』

「 ……… 」

『寝室に呼びに行った時はまだ持っていたんだ。だから移動する時に忘れたのかなと思うんだけど… 』

「コニーふわっとしてるからな。ありえなくはないだろ」

『うーん、そうだよね… 』

壁に寄りかかりながら話す。

レイの言う通りありえなくはないのだ。実際にあの子はぼんやりしている節があったから。ただどうにも違和感が拭えない。

しんとしたこの空間ではどこかの部屋の時計の音がやけに大きく響いているように感じる。レイの持つランタンの灯りがゆらりと揺れた。

『 ( 寝室から玄関に移動する時に落とした…とは考えにくいな。落としたらすぐ気付くだろうし。寝室にそのまま忘れていったというのが妥当かな ) 』

「 A 」

『うん、そうだね…( でもそしたら食堂にあったのはどうして…渡すタイミングはあったはずなのに ) 』

「 ……… 」

見送りの時はまだ食堂に置いていなかった。そしてコニーも持っていなかった。あのママでさえ、リトルバーニーのことを口にしなかった。

だとすれば、やっぱり寝室を出る時にそのまま置いていってしまった、というのがいちばん可能性が高い。

もしくは＿＿＿＿

『誰かが意図的に置いたか』

こんなこと考えたくはないけど、それがもし本当なら…

私のそんな思考は2人分の足音と扉が開く音で断ち切られた。

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