プラタナスエスケープ【約束のネバーランド】 (ページ28)

今日:1 hit、昨日:21 hit、合計:6,315 hit

▽27話ページ28

・

「内、通者… 」

鬼ごっこ(くんれん)の休憩中、私達4人は森の中で話し合っていた。やはりノーマンもその可能性に気づいていたようで、それについてエマとレイに説明したところだった。

エマの声は震えている。長い間共に暮らしてきた兄弟の中に脱獄を阻もうとしている人物がいる、なんて言われたら、優しいエマはこうなるだろう。

『ほぼ確定だろうね』

「つまり、鬼の手先…裏切り者ってことか？」

「いや、そうとは限らない。無自覚にママへ情報を流している場合もあるだろうからね」

『厳密に言えば＂情報源＂ってところかな』

わたしの言葉にノーマンが頷く。エマは依然戸惑うような表情だ。

「＂情報源＂を利用した標的の掌握と制御。恐らくそれが… 」

ママの策(て)の＂実際＂＿＿＿

「待って！そんな…＂情報源＂…？」

『エマ』

だんだんと暗い表情になっていくエマの名前を呼ぶ。エマは戸惑いと不安の滲んだ目で私を見つめた。

『無理じゃない』

「 A… 」

『大丈夫だよ』

「 …そうだよね。うん、ありがとうA 」

そう言うとエマは決意したような笑顔を私に見せる。皆大切な家族。内通者だとしてもエマは見捨てられないはずだ。

私はエマのそういうところが大好きだ。これこそエマが下の子達に慕われる所以なのだろう。

「けど、じゃこの先どうするよ。＂情報源＂は見つけ出すとして、ドンとギルダを引き入れる話は？」

ノーマンは「もし2人が＂情報源＂だったら」と言いかけたレイの言葉を遮り、問題ないと言った。＂情報源＂のあぶり出しとドンとギルダ、2人を引き入れることは同時にできるらしい。

「スパイならこちらの切り札にもなる」

「情報を操作して逆に敵を攪乱したり、こっちの有利な状況をつくることも不可能じゃない＿＿か」

「そ。既に網も張った」

『さすが。仕事が早いね』

「驚かないんだねA 」

『君ならやりそうだと思っていたよ』

その時ドンが私達を呼びに来た。もうそろそろ2回戦を始めるらしい。手を振って返事をする。

ノーマンは発信器を壊す算段は順調かとレイに問うた。レイによればあと10日ほどで完成するらしい。

「じゃあ10日後に決行しよう」

「え」

ノーマン言葉に誰もが目を丸くする。

「脱獄決行は10日後、11月8日だ」

そう言ったノーマンの目には、固い決意の色が浮かんでいた。

・