プラタナスエスケープ【約束のネバーランド】 (ページ27)

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▽26話ページ27

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夜も更け兄弟皆寝静まった頃、私は一人考えていた。

ママは施設(ハウス)の秘密を知った＂標的＂が最年長(わたしたち)4人、正確にはエマとノーマンに、レイと私が加わったことを特定している…かもしれない。

もし＂標的＂を特定できていないとなれば、疑いをかけた年長者(わたしたち)6人をマークしないのはありえない。

そう思ってここ10日ほどシスターの動きを注意して見てみたけれど、あくまで全体の監視の強化。ママは＂標的＂を特定する気がない。その上で私達を好き勝手動かしている。

それが＂標的＂の特定を済ませているから、だとしたら。

ふと一つの可能性が頭をよぎる。

『 …考えたくはないなあ』

＿＿＿子供達の中に内通者がいる、なんて。

私だって疑いたくはない。だが全くありえない話ではないのだ。ただ＂いい子＂にしていてママに情報を渡している可能性だってある。

『 …少し水を飲みに行こう』

そろりとベッドから抜け出し食堂へ向かう。食堂はしんと静まり返り、外からは小さく梟の鳴く声が聞こえる。

『 …私達をコントロールできているから、ママは動かない』

＂標的＂を知っていて、私達の行動を逐一報告できる。敵(ママ)にとって最高の駒。それと同時に私達にとっては最悪の人物。

思い当たる人物がいた。

きっと。多分。恐らく。確証はない。

まさかあの子が＿＿＿＿

『＿＿レイ』

「何してんだ。寝れねぇの？」

『ああいや、少し考え事をしていて… 』

暗闇から音もなく現れたレイ。音はしていたのかもしれないが、集中しすぎて聞こえなかったようだ。

彼は私の隣に立ちグラス一杯の水を飲む。

『レイ』

「ん？」

『君、私達に何か隠してることない？』

月明かりが反射してレイの顔が青白く照らされ、視線が交差する。その表情は何を考えているかわからない。

暫しの沈黙。

「ねえよ。10年一緒にいるんだぞ？秘密もクソもあるかよ」

『 …そうだよね』

「おう。じゃ、俺は寝るから。お前も早く寝ろよ」

『うん。おやすみ』

再び食堂に一人になる。

きっとノーマンも内通者がいることに気づいていて、あの子を疑っているのだろう。頭のいい彼のことだから、既に内通者をあぶり出す為の網を張っているかもしれない。

部屋に戻り、静かに布団に潜り込む。

どうか内通者なんていませんように。私はそう願いながら眠りについた。

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