プラタナスエスケープ【約束のネバーランド】 (ページ20)

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▽19話ページ20

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ベビーベッドはママの部屋に9台。1・2歳の子供達9人がママと共に寝起きしている。

その部屋で毎晩最年少組の入浴や着替えの手伝いが許されるのは、何故か(・・・)年長の女子のみ。何か年長の女子(わたしたち)にしか許されない理由があるのだろうか？

ずっと疑問に思っていた。ママがハウスの＂ママ＂になる前は誰が＂ママ＂だったのだろう。本しか情報はないけれどそもそも＂パパ＂は存在するのだろうか。

拠点があって、食用児の補充ができるのなら男の人がいるはずなのだ。まさかコウノトリが運んでくるわけではあるまいし。

「 A！」

大切な商品な訳だしまさか素人が食用児を育てている…という訳ではないだろう。

何年も真実を隠し通せるだけの演技力、表情管理。子供達に情を持たない為の感情の制御。万が一バレた時の対処の仕方…これらの力を身につけ飼育監(ママ)になる為の…所謂教育機関なんてものがあったりしてもおかしくはない。

「 A？」

そして発信器を取り付ける場所…鬼といえど機械も人肉と一緒に食べてしまうとは考えにくい。必ず取り出す、もしくは切り落とす工程があるばずだ。

手術痕も残らず、バレにくく、尚且つ取り出しやすい場所。

「 Aっ！」

小さく息を吐き何気なく横の髪を耳にかける。そこで頭に浮かんだとある部位。

埋めてすぐでも目立たず、簡単に切り離せ、ママがよく触る…

『 ……まさか、耳？』

「 Aってば！」

『！』

私の名前を呼ぶエマの声にハッと意識をそちらに向ける。

また無意識に考え込んでしまっていたようだ。エマの顔を見ると心做しか明るい表情。何か発見があったらしい。

「見て、キャロルの耳の裏」

『耳の裏？…あっ』

「採血痕みたいよ。エマがさっき見つけて… 」

『採血痕… 』

キャロルの耳の裏を触るとコリっとした感触。思い返せば誰の耳にもあった。昔ママが「赤ちゃんは血管が細いから」と言っていたのを思い出す。

これは採血痕なんかではない。これこそが発信器だったのだ。私の推測は正かった。エマと顔を見合せて微笑む。

本当にあった。発信器が。自分の耳を触ってもほとんどわからないけれど…何はともあれこれで次に進める。

＿＿次は壊し方。

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