プラタナスエスケープ【約束のネバーランド】 (ページ17)

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▽16話ページ17

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「やはりアレ(･･)を何とかしないと脱走は不可能だ」

＿＿＿発信器

あれから体の隅々まで探したけれど、手術痕やそれらしいものはどこにもなかった。もちろん服や靴にも。

そしてレイは、恐らく電波を使った発信器だと言う。だがそれには内部に電池が必要で、消費も早い。

電池の寿命が10年以上で手術痕が残らないほど超小型の発信器。果たしてそんな代物が2015年当時、人間に実現可能だったのか。答えは恐らく否だ。だが今こうして実現していると考えると…

『鬼独自の技術なのかもしれないね』

「ああ。つまりは、仕組みを予想して場所や壊し方を特定するのは困難ってことだ」

「 ……詰んでない？」

「詰んでる」

レントゲンとかあればまた別かもしれないけれどね。

とにかく、問題は発信器だ。発信器さえどうにかできれば勝算はあると考えていい。

ただ如何せん……

「情報が足りなさすぎる……！」

「それな」

『行き詰まってるねえ』

「他人事みたいに…… 」

「手詰ま(こうな)ることがわかっていて＿＿の余裕なのかな」

時間は有限。だがそれはママも同じはずで、一刻も早く標的を特定・対処したいはずなのだ。

なのに何か違和感を覚える。

「うまく言えないんだけど、回りくどいというか、手ぬるいというか…… 」

「＂標的を探す必死さに欠ける＂？」

「そう！」

『ふーむ。言われてみればたしかに』

右手で後ろ髪をかきあげる。ぱさりと濃藍の髪が揺れた。

発信器からは何の＂断定＂もできない。たとえ疑われても、全ては＂疑い＂、全ては＂警戒＂の域。ママは何を考えているのだろう。

ママは母であり師である。

私達を教え育てた。

ママのあの余裕はどこから来るのだろう。カメラも盗聴器もない。あるのは私達の体のどこかに埋まった発信器のみ。それも個人を特定できないもの。ハウスの鍵だって知恵の輪レベル( ノーマン談 )。警備なんて無いに等しい。ハウス内の見張りはママ1人だし……

『＿＿見張り？』

「 Aどうしたの？」

『そうか、その為の…… 』

「何かわかったの！？」

3人が一斉に私を見る。

食料庫の整理に予備リネンの点検、空き部屋の片付け……よく考えたらわかることだった。

ママは恐らく＿＿

『誰かをこのハウスに迎え入れるつもりなのかもしれない』

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