だれかのきおく ページ1
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きょうも家に帰ったら、あの人たちにサッカーの練習を強いられる
僕にはそれが当たり前やった いつもの事やった
あの人たちが応援してくれてるから
ただそれだけことで僕はサッカーを続けてた
「ねぇ、大丈夫？」
その日はサッカークラブが休みやったから、あの人たちに公園で練習してきいって言われて公園に来てた。
そしたら女の子に声かけられた。
「……？何がなん？」
大丈夫って、なんのことやろ？
そう思った僕は率直にそう聞いた。
「わかんない。」
女の子は僕をみながらそう言ってきはった。
僕はまさかそう返ってくるとは思わんくて、僕もその子も見つめあいながらハテナ浮かべてた。
そしたら遠くの方からもう1人誰かの声が聞こえてきた。
その声の子は女の子と顔がそっくりやった。
「ねえさん、なにしてんの？」
「あのね、おしゃべりしてたの。」
女の子は僕の方を見てからその子に視線を移してそう言わはった。
そしたらその子が僕が手に持ってたのを見て「あっ」って声出さはった。
「サッカーボール。」
「ホントだ。サッカー好きなの？」
女の子にそう聞かれた。
そんで、悩んだ。
僕はサッカー好きなんかな
まず僕ってなんでサッカーしてるんやっけ？
あ、そうや
あの人たちが応援するからや
あの人たちが応援するから、僕はその期待に応えようと思ってたんや
僕がそう思ってたら、その子が僕の手をぎゅっと握ってきはった。
「サッカー、しよ。」
「えっ」
「や？」
「……別に、ええけど」
見た感じその子も女の子も年下っぽいし、僕はこれでもレギュラーに入るぐらいには実力はあるはずや。
それにもうすぐあの人たちが帰ってきいって言ってはった時間
やから数回やったら帰ったらええか
僕はそう思ってその提案にうなずいた
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「──────ほっ」
「──────！」
その子がゴールを決めはった
女の子の方は水分休憩してはって、僕とその子で1on1してるときやった
僕は、そのゴールにみほれた
その子は軽やかに飛んで、でもどこか力強くて
どこまでも遠くに飛んでいけてしまいそうな
"鳥"みたいな子やった
僕もちょっとは手加減したけど、その子も女の子も十分強かった
「……君ら、凄いなぁ」
僕はその子らに素直にそう伝えた
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作者名：漢方薬の達人 | 作成日時：2023年5月30日 0時
