純粋な瞳【轟焦凍】 (ページ1)

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再会ページ1

いつかこの思いは尽きると思ってた。アイツの存在も忘れて、別の事に興味を示す。
俺はそれが怖くて、そんな気持ちを紛らわす為にプレゼントを渡した

「またいつか会おうね。
俺は絶対に忘れないから。お前のこと」

小さい体には大きすぎる兎のぬいぐるみ。
真っ白くて深紅の瞳。右耳には桃色のリボンが付いている

『ありがとう』

人見知りなアイツはぬいぐるみで顔を隠し礼を言う。
ああ、最後に見たのはアイツの後ろ姿だけか。
顔くらい見たかったな。
今は何処に居るんだろ。また戻ってこないかな。話したいことが沢山ある。お前の声が聞きたい

「試験内容は3キロマラソン。
ただし、ただ走っても完走できないコースだ！
"個性"を駆使してゴールしろ！」

雄英の入試。居るわけもないアイツを無意識に探してしまう。
"個性"は凄いし強い。だから推薦されている可能性も低くない。………やっぱ居ねぇか……。
集中しよ…

深呼吸をしていると、ザワザワと一部が騒ぎだした。ソイツらは全員モニターに目を向けていた。
空色の髪を靡かせ(なび)鳥の形をした紙(・)を撫でている女子。
見覚えがある。あの髪の毛にあの"個性"。
純粋という文字を具現化したような清らかで上品なその姿と、あの紙に生命が宿ったような、意思を持ったような動き。
間違いない。Aだ

「……A…」

俺の呼びに振り向いた。
何年も会ってないから、俺のこと忘れたのか。誰だという目で視線を合わせてきた

「お前、紙木(かみき)Aだよな。
俺だ。轟焦凍だ」

『……しょーと、くん………？』

この気持ちをどう言葉にすればいいんだ。
真っ暗な景色に一筋の光が差して、そこからは甘いキャンディや金平糖が降ってきて。
口に含んでいないのに甘い味が口に広がっていくような

「会いたかった。A、会いたかった…」

言葉になんかしなくてもいいか。
こうやって抱きしめることができた。会話ができた。目を合わすことができた。声を聞くことができた。
幸せだ。入試結果なんかどうでも良くなるくらい