隣で笑って8【赤羽業】 (ページ3)

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この前の事を、俺はAちゃんに話してない。

比水さんに聞いた"力"の事を。

力を授かるのは時間がかかる。

赤のクランは場合によっては力を授かる前に燃やされる可能性があると。

青のクランは多分行けない。

セプター4に就くなら話は別だが、生憎俺には夢がある。

白銀のクランは王権者の伊佐那社さんや、クランズマンの二人とそんなに気が知れた仲ではない。

こう考えると地道にポイントを貯めて力を授かるか、死を覚悟で力を授かるかに絞られるな

『カルマ？』

赤羽：ん、何？

『難しい顔してるけど、どうしたの？』

赤羽：何でもない。

ごめんね、折角のデートなのに

……今は考えるの止めようか……

『……あのね、カルマ。

結構前に「死ぬまでに行きたい場所ある？」って聞いてきたの覚えてる？

オレ、綺麗なところに行きたい』

赤羽：綺麗な……？

『オレね？

ずっと景色の無い世界で育ったの。

父さんや母さんからの教育は毎回室内で、初めて外に出たのはオレが6歳の頃。

景色とか雲とか夜の街とか、6歳で初めて見たんだ。

だからきっとオレの知らない景色がまだあるんじゃないかって』

こうやって少しずつではあるけど、彼女の過去を知っていく。

嬉しいはずなのに、とても恐ろしかった。

聞けば聞くほど遠くなって彼女から笑顔が消えていって、俺から離れて行く気がした

赤羽：俺が連れていってあげる。

卒業旅行とかでオーロラ見に行こうよ。

満天の星空を見に行くのでもいい。

Aちゃんが見た事ないような景色を俺が見せてあげる

彼女の笑顔が好き。

彼女の笑顔が見たい。

彼女の笑顔を守りたい。

彼女の笑顔を奪うモノは俺が許さない。

彼女が笑顔になるのなら俺は何だってする。

それこそ、人殺しだってしてみせる。

俺はそれほど彼女が好きなんだ。

それほどに彼女を

愛しているんだ─────