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鎮目町中に溢れていた群衆が完全に引き上げるまで、それからまだ数時間を要した。
その間に俺も顔に負った火傷の手当てをしてもらい、まだ体調が優れないのか、また眠りについたAを背負い、外の安全が確認されてからバーを辞して自分達の部屋へ帰った。
空が白んでくる時間だった。
すっかり人気が引いた町内は閑散としていたが、濃い火薬の匂いが空気中に残っていた。
大量のクラッカーやロケット花火の残骸、捨てられた仮面が道を埋め尽くして、踏み潰されていた
八田：すげーよな、"赤の王"周防尊！
俺、近くでばっちり見たぜ。猿比古見えてなかったか？
こう、拳を軽ぅくにぎったら、火がぶわーってなって、それをちょいっと振るっただけで、でっかい炎がどーんと！
もう元気を取り戻した美咲が、テンション高く語りながら拳をぶんぶん振り回してその真似をして見せる。
俺はその隣で足元に視線を落として無言で歩いていた。
割れたプラズマの仮面を、ぱき、ぱき……と踏みつける
八田：……猿比古？痛むのか？
帰ってひと眠りしたら昼にでも医者行こうぜ。Aも一緒にさ。
行っとけって草薙さんも言ってたしな
あっという間に近所の頼りになる兄ちゃんを呼ぶみたいな親しさだ。
俺は俯いたまま首を振った。
こめかみに貼られたガーゼの上から眼鏡をかけているから少々窮屈で鬱陶しい
八田：猿比古
はしゃいでいた声のトーンを落とした。
俺に何か真面目に言い聞かせる時の声色だ。
八田：負けたのは俺達だ。
そうだろ？
伏見：参謀は俺だ。
だから、負けたのは俺だ
八田：ちげーだろっ。
3人でやろうって言って、3人で計画したんじゃねぇかっ
伏見：……
どっちだっていい。
どっちにしたって何の慰めにもならない
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作者名：神夜 | 作成日時：2017年4月8日 21時
