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手に手にクラッカーやロケット花火を持ち、憑かれたように追ってきた郡はこちらを遠巻きにして足を止めていた。
闇の中にたくさんの白い噛めんが浮かんでいる。
微かなざわめきが聞こえてくるだけで、其以上近づいてくる者はいない
「いやー、中々の危機一髪っぷりだったねぇ」
頭の上で声がした。
陽だまりシェルターを創った人物の声だと自然と納得できる、のほほんとした明朗な声だ。
放心状態のまま首を巡らせると、若い男がにこにこして立っていた
「大丈夫?顔、火傷した?
あー、まつげちょっと焼けちゃってるねぇ」
俺の顔を覗き込んで心配するような事を言うものの、切迫して心配している感は全然伝わってこない。
男が赤い怪物の方を振り返り
「キングー。派手にやりすぎだよ。
かたぎの子達を極力怪我させないようにって草薙さんに言われてたのに」
「させてねぇだろ。手加減したぜ」
赤い怪物が獣が唸るような声で言い返し、足元でへたり込んでいる美咲を面倒くさそうに見下ろした
「で、このガキはなんだ」
「さぁ?
キングも知らないの?
じゃあ何で助けたの?」
1ヶ月ばかり前に町内で行き合った中学生の事など全く印象にないようだ
キング………、"赤の王"………
八田:さっ………さるひこっ……
よろけながら立ち上がり、赤の怪物から離れて駆け寄ってきた。
ちょっと手前で思いっきりすっころんででんぐり返し1回してその勢いのまま頭から突進してきて
八田:うぐっ、うぇぇっ、さるひこぉっ………。
よ、よかっ……マジ俺今度はヤベーって思って、し、し、死んだかとっ………よ、よかったぁぁぁぁぁぁぁぁさるひこおぉぉぉぉぉ……
と、ぐしゃぐしゃの泣き顔で抱きついてきた
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作者名:神夜 | 作成日時:2017年4月8日 21時