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集団がさらに接近してクラッカーを鳴らす。
白煙の中からロケット花火が次々に飛来する。
身を屈める赤い怪物の一味の頭上を越え、バーの壁や窓ガラスに火が突き刺さる
【さて、俺はともかく、君は高みの見物をしてていいんですか?】
小さい両足をぱたぱたと上下させながら、アバターがこっちに首を回した
【雑炊にパイナップルを入れる友人と軟弱な彼女は無事ですか?】
心臓から一気に血が引いた
暗号化したメールアプリの会話を、読まれてる…。
そんなやり取りしたのは何時の事だ?
2年以上も前だ。
Aが軟弱だったのだって………。
ずっと読まれていた………視られていた………?
最初から、全部……?
ヘッドセットを引っ掴み、
伏見:美咲!A!
装着するのももどかしくマイクにかじりついて呼んだ
伏見:美咲!A!
ヘッドフォン部を耳に当ててさらに呼ぶが、ヘッドフォンからは何の音も聞こえない。
いつの間にか通信が切れている。
「君が書くコードはとても綺麗です。綺麗すぎです。
秘密のコードはもっとグッチャグチャに書く事を推奨します」
無音のヘッドフォンから突然別の声が聞こえた。
機械的なエフェクトがかかった中性的な声だ。
はっとして目を上げると、声に合わせてディスプレイの中でアバターが口を動かした
「君は中々筋がいい。けど未熟です。
俺と遊びたいんなら、もっと強く、賢くなってからにしてください。
でないと、またこういう事になります」
朴訥な顔をしたアバターが、くわと目を剥いた
壊される━━━!
何を、なのかはわからないが直感した。
咄嗟にネットに繋がっているルーターとパソコンのケーブル全てを一緒くたに掴んで引き抜いた。
プツッと音を建ててディスプレイが暗転し、アバターの姿も消えた。
端末だけを掴んでロフトから飛び降りた。
たたらを踏んで膝をついたが、すぐに立ち上がりスニーカーを突っ掛けて部屋を飛び出た
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作者名:神夜 | 作成日時:2017年4月8日 21時