隣で笑って 7【赤羽業】 (ページ14)

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赤羽side

Aちゃんは今日、椿さんと雫さんと登校してきた。

尊さん達も我慢の限界だったのだろうか

東雲：あの二人は？

赤羽：……Aちゃんの部下だよ

東雲：部下……。

暁月Aは金持ちなの？

赤羽：知らない。

でも二人は「お嬢様」って呼んでる

俺ってホント、Aちゃんの事知らないんだな……

つくづく思う事だ

『見て見て、椿、雫。

今日はアンナにもらった大切なハンカチ持ってきたの！』

周囲に聞こえるように大きな声で言った。

それを東雲は聞き逃さなかった

東雲：大切な……ね

『今日は運勢最高だからアンナのハンカチも付けて人生最高の運の日にするの』

椿：お嬢様、アンナちゃんからのプレゼント、とても喜ばれてましたね

雫：お嬢様が喜ばれているのを見るのが、我々の幸せです

微笑ましい光景だ。

それを悪用しようとする輩は、この教室にたった一人

椿：そろそろ外へ行きましょうお嬢様

『うん』

彼女らが教室を出ると、東雲はすかさずAちゃんのスカートのポケットからハンカチを取り出した

東雲：人生最高の運の日、私が人生最悪の運の日にしてあげるわ……。

赤羽業。このハンカチを切り刻みなさい

赤い薔薇の刺繍が右端にある、とても高そうなシルク製のハンカチ。

これを刻んだらバチが当たりそうだ。

今の行いもバチ当りだけど

東雲：……もういいわ、赤羽業の代わりに潮田渚、アンタがやりなさい

潮田：え……！？

ぁ……、…っ…………わか…

赤羽：いいよ、俺がやる

渚君に渡そうとしていたハンカチを横から取り、原さんに布切りバサミを借りた

……ごめん、Aちゃん………

ｼﾞｮｷｯｼﾞｮｷｯｼﾞｮｷｯ━━━━

俺らの中で布を切る音と共に何かが失っていく感覚があった。

憤怒と哀傷。

東雲とAちゃんへの何かだというのは明確だったが、それが何かというのは考えたくもなかった