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それから数時間が経ち、Aが目を覚ました
『……さるひこ……』
ガラガラ声で鼻声。
完璧な風邪だ
伏見:大丈夫か?
何か飲むか?
小さく首を降ると俺の人差し指を摘まむように握った
『……さるひこ………』
その目には涙が浮かんでいて、目を閉じたら溢れるそうなほどだ。
自分の身には覚えがないが、俺は何時の間にかAを泣かせていた
伏見:何で泣いてんだよ
それを拭ってやると栓が外れたかのように大量の涙を流した
『……遠くに、行っちゃう……。
さるひこの世界から、弾き出されて………私が居た位置に八田君が入って……。
私は、さるひこの中から居なくなるんだって…』
どうして八田が出てきたのかはさておき、Aは勘違いしているらしい。
俺の世界にはAだけが必要で、Aだけが入れるんだ。
…………それが、今までだった……………
伏見:八田は関係ないだろ。
お前は俺ので、俺はお前のだよ。
ずっと変わらない。これからずっと。
例え八田が一緒に居ても
『……さるひこ………私の事、好き?』
伏見:ああ。
お前以外の女に、興味の欠片もない
嬉しそうに微笑み、指を握る力がほんの少し弱まった。
うとうとして瞼を閉じAはまた眠りについた
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悠紀(プロフ) - 続編おめでとうございます またこれからも拝見させて頂きます!頑張ってください。 (2017年3月13日 8時) (レス) id: 8bd27ddb79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神夜 | 作成日時:2017年3月12日 15時