存在【K】2 (ページ15)

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穂崎side

数時間の睡眠で体調は悪化していると思えた。

呼吸をするのにも一苦労。

視界がぼやけていて、今誰と添い寝しているのかも怪しい。

目をごしごしと擦りそこに、目の前に猿比古が居るという事実を確認した

……猿比古………寝顔…可愛いんだよね………

寝ている彼の頬をツンツンとつつく。

「ん……」と起きそうになったが、また寝息を立てはじめた

「おーい、出てこいよー。

俺の声聞こえてねぇわけねぇだろ。

隠れてんじゃねぇよ」

遠くの方で聞こえた、聞きたくもない声

『サル、猿比古起きて！』

身体を譲るとうっすらと目を開けた

伏見：…A……

『猿比古、アイツが帰ってきてる』

伏見：！？

私達は飛び上がるように身体を起こした

「出てこねぇと新しいトモダチの口にカマキリ突っ込むぞ？」

ハッキリと確認して、雷鳴の如く、ドアを力強く開け声のする方へ駆け出した。

ただでさえ体調が悪いのに、この男の顔を見たらもっと悪くなった気がする

『……仁希……っ』

仁希：チョロいぜ二人共。燻りだし成功！

実に楽しそうに笑う。

こういうところも含め、コイツは全体的に嫌いだ。

戸惑いがちに脇に立っている八田君に一瞬目を向け、またアイツに牽制するような視線を向けた

伏見：八田、帰れ

しゃがれた低い声で言った。

突然の命令に目を白黒させていたが、笑顔を作って

八田：あ、雑炊できたから食えよ。結構上手く……

仁希：何？トモダチ、飯作ってくれたのかよ。

優しいじゃん。

中坊が作ったもんがちゃんと食えるもんになってんのかね

『帰ろう八田君。

コイツに関わらない方がいい』

軽口を続けるアイツを無視して八田君の手を掴んだ

仁希：おいおいAチャーン。その言いぐさは無くね？

人の家勝手に上がり込んで勝手に出ていくのは、常識としてどうなんだ？

八田の手を掴んでいない方の腕を掴まれ、アイツの方へ引っ張られる

仁希：俺に言うことあんじゃねーの？

伏見：触れんなっ！

顔をぐいっと近づけるアイツに、猿比古は怒鳴り声をあげた