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「A先輩…？」
移動教室から戻ろうとした時、人混みが多い廊下で
はっきりと私を呼ぶ声が聞こえた。
振り返るとそこには国見くんが居て、
目が合うと会釈をした。
「やっぱり、A先輩だったんですね。ミサンガ」
私の左足につけたミサンガを見て
ポケットから取り出すと、
私の傍に寄り、手の平に置いた。
「先輩につけてもらおうと思って」
お願いします、と言い腰を下ろした。
私もしゃがむ形で国見くんの左足に
ミサンガを結びつけた。
「『なんで来ないんだ』って聞かないの？」
「…来たくないんでしょ？
だったら無理して来なくていいと思います」
よいしょ、と立ち上がると私に手を差し伸べる。
その手を掴み、私も立ち上がる。
ありがと、とお礼を言い手を離そうとするが、
一向に離れない所か、国見くんの握る力が強くなる。
「これは俺の我が儘ですが、
A先輩のドリンクが飲みたいです」
途端に廊下が静まり返る。
国見くんから我が儘を言われたのは初めてのことだ。
「…そろそろ来てくださいよ。
じゃないと、及川さんがまた無茶しちゃいますよ？」
寂しそうに微笑んだ国見くんの表情が、
脳裏に焼き付いた。
会釈をして去った廊下に一人取り残される。
部活…行かないと。
でも、今更どんな顔して行けばいいのだろう？
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夜桜伊織(プロフ) - ハルさん» わっ、1年も経つんですね！？そう言って頂けて凄く嬉しいです！！ (2020年6月4日 0時) (
レス) id: 022836b4c3 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 一年越しで本当に申し訳ないんですが、この作品すごく好きでした！！！ (2020年6月3日 14時) (レス) id: f0b62f3d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜桜伊織 | 作成日時：2019年5月23日 20時
