#18 ページ18
体育館に着くまでの間、
私達は一言も話さなかった。
先行く及川さんの後を着いて歩いていると
いつの間にか周りに選手が集まっていた。
「いや〜皆、心配かけてごめんねぇ」
及川さんがおちゃらけて言うと、
「そこまで心配してねぇよ」と野次が返ってくる。
輪に入れず、離れた所で眺めていると
及川さんが此方を振り向き、微笑む。
「皆、Aちゃんから話があるって」
さっきまで騒がしかった体育館が静寂に包まれる。
集まる視線に緊張が高まる。
小さく深呼吸し、深く頭を下げた。
「すみませんでした！！」
顔を上げると、皆が私を見てくれている。
私の話を聞いてくれている。
「私…皆から、バレーから逃げてしまいました。
一生懸命、頑張ってる姿を見るのが辛くて…。
でもやっぱり、バレーが、皆が好きなんです！
これからは皆と一緒に戦っていきたい。
だからもう一度、
私にマネージャーをさせて下さい！」
再び、頭を下げる。
なんて言われるか、怖くて堪らない。
「駄目だ」
静寂の中、声を発したのは岩泉先輩。
「…なんて、言うわけないだろ」
「そうそう。俺たち仲間なんだし？
キツくなったら頼れよ」
顔を上げると花巻先輩がポンと背中を押した。
「おかえりなさい、A先輩」
国見くんの言葉に皆が後を続ける。
「っ、ありがとうございます」
安堵したのか涙が溢れ出し、
及川さんが私の頭を撫でて言う。
「返事が違うよ〜」
意味の分からない私に、
「おかえりの返事は？」と聞いた。
「っ、だ…ぃ、ま」
「もっと大きくー！」
「…っ、ただいま！！」
体育館中に響いた私の声が、この場を和ます。
目の前に居る及川さんが微笑んで言った。
「おかえりなさい、Aちゃん」
私が部活に行かない理由
それは、
バレーと、青城の皆が大好きだから。
-fin-
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夜桜伊織(プロフ) - ハルさん» わっ、1年も経つんですね！？そう言って頂けて凄く嬉しいです！！ (2020年6月4日 0時) (
レス) id: 022836b4c3 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 一年越しで本当に申し訳ないんですが、この作品すごく好きでした！！！ (2020年6月3日 14時) (レス) id: f0b62f3d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜桜伊織 | 作成日時：2019年5月23日 20時
