彼女の想いと覚悟 ページ38
貴「そう.......この指輪はね、憂太の誕生日プレゼントを決める時に、里香から貰ったの。里香は、私の事を大切な親友と言ってこの指輪をくれた。あの時、あまり気にしていなかったけど、改めて見ると憂太の持っている指輪と色は違うけど、お揃いだよね。」
乙「ほんとだ.......。」
僕とAちゃんの手には、それぞれ里香ちゃんから遺された指輪がある。きっと里香ちゃんは、この指輪で僕とAちゃんを繋ごうとした。
貴「幼い頃からずっとこの指輪だけは毎日つけてた。親友を忘れないように.......。里香が私に遺してくれた最期の宝物だから。この指輪に誓うよ。もう憂太の傍を離れたりしない.......貴方だけを愛し続ける。死がふたりをわかつまで.......。」
乙「.......。」
彼女の言葉は誓いの言葉のようだった。笑顔で言っていたけど、ブラウンの瞳は真剣だった。死がふたりをわかつまで.......まるでプロポーズをされているみたいだ。
貴「.......なんか、プロポーズみたいな言葉になっちゃったけど、これが私の覚悟だよ。中途半端は嫌いだし、里香が私達を繋げてくれたから、私はいるかも分からない神ではなく里香に誓うよ。きっと里香も見守ってくれているだろうし。.......だから、憂太も.......私を受け入れるならこのくらいの覚悟で、隣にいて欲しい。
それと、他人を守る為に自分の命を犠牲にするのはやめて。もう前みたいなことはしないで。私の隣にいるのなら、『生きている』事が大前提。呪術師だから難しいかもしれないけれど、貴方が傷つく事で悲しむ人がいることを忘れないで.......。」
僕の想いは、人より重いが故にもしかしたら彼女の負担になるかもしれないと思っていたけど、杞憂だったようだ。
貴「憂太は自分の事をよく卑下していたけれど、私からしたらとんでもない.......とても優しくて、素敵な人なんだから。今直ぐにとは言わない.......少しずつでいいから『自分』を大切にしてね。」
彼女は言いたいことを全て言えたのか、満足したような顔をしてこちらを見ていた。少し不安気な顔をしているが、心配する必要なんてないのに.......。僕は君と一緒にいられるのなら、何だってする。
せっかく彼女から、誓いの言葉を聞くことが出来たのだから、それなら、僕も彼女に対しての覚悟や想いについて誓いをたてよう。伝えたい事は全て伝えよう。
僕は彼女の持っている金色の指輪を、彼女の薬指にはめ、自分の指輪を触りながら言った。
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作者名:如月 | 作成日時:2023年1月25日 2時