今なら伝えられる ページ27
貴「.......。」
乙「.......。」
気まずい.......。何故気まずいって.......??憂太が声をかけてくれたから、私も返事はしたが、その後憂太がそのまま黙ってしまったからだ。
いつの間にか姉さんや五条先生、真希、パンダくん、狗巻くんは離れてこちらを見てるし、しかもなんかワクワクした目でこちらを見てくる夫婦が二人.......ちょっと何これ.......ドッキリ??
憂太の顔を見たが、憂太の顔は少し赤くなっており、目をキョロキョロさせている。落ち着かない雰囲気になっていて、私も何だか憂太の顔を途中から見られなくなってしまい、視線を下に向けている。お互い向かい合っている状態なのに視線が合わず、気まずい雰囲気になってしまった。
乙「スー.......ハー.......よし!Aちゃん!」
貴「は、はい!.......。」
憂太の大きな声に呼ばれて、驚いて吃ってしまった。.......やっとちゃんと顔を見れた気がする。
乙「一年の間、色々な事があったけど、僕と仲良くしてくれたり、助けてくれてありがとう。生きる事に億劫で死のうとしていた僕は、Aちゃんや皆のおかげで、里香ちゃんの事も解決出来て、再び呪術師として、新たな人生を歩むことができるようになった。」
貴「うん.......。」
乙「一年前の僕がみたら、きっととても驚くと思うんだ。」
貴「うん.......。」
乙「真希さんに言われた通り、皆に会うまでの僕は、暗くて気弱な性格のせいか、他の人からも虐められる事があったりもした。僕は、色んな物事に対して受け身の姿勢で生きてきた。そんな僕が、皆と出会えて一緒に過ごす事で、今までの自分からより身体的にも精神的にも成長したと思う。」
貴「うん.......。」
そうだね、再会した時に見た最初の貴方は、びくびくしながら、教室に入ってきていた。特級過呪怨霊となった里香を後ろに憑けた状態で。あの時は、怖い転校生が憂太だなんても思いもしなかった。
乙「一年前の僕なら、言えなかったけど今の僕なら、君に伝えられる.......僕の気持ちを。」
貴「.......乙骨くん?」
何を言おうとしてるのだろうか。今まで自分と仲良くしてくれたお礼とか.......?仲良くするなんて当たり前だよ.......だって大切な友人で幼馴染なのだから。
乙「一年前、僕は死のうとした。だけど五条先生と出会って、呪いの使い方を学べるって聞いて、この高専に行く事を決めた.......でももう一つ理由もあった.......。Aちゃん.......君がいるって聞いたからなんだ。」
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作者名:如月 | 作成日時:2023年1月25日 2時