【d！】宇宙人にさらわれた。２ (ページ10)

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彼の本音ページ10

カチャリと扉が閉められて、彼が壁から手錠をとる。

よく見ると、なんとも趣味の悪く、物騒で気味の悪い部屋だと身震いした。

彼は無言で私をベッドへと押し倒す。

右腕をベッドと繋がれ、左腕は痛みで動かない。
　

　

唯一の希望の足も、彼が私のお腹の上にのっているせいで動かせない。

あぁ、また

私は、何も学んでいない。

sha「なぁ、A。」

響くのはベッドの軋む音と、私の震える呼吸、そして、感情の分からない彼の声。

語りかけるように、しかし圧のある声。

私は咄嗟に返事をしなければ、と喉から漏れ出るように返事をした。

『う、ん。』

私の返事を聞いて、彼は矢継ぎ早に話しだした。

sha「俺、ずっと我慢しててん。」

「躾なんてされてないから、俺に待てはきかない。それでもな、俺ずっと頑張って待てしてたんや。Aは一人しか居ないから、換えがきかないから。」

「他の奴らも皆俺と同じだった、いや、同じはずだった。一人が、待てができずに食い始めてしまったんや。それによって食べても良いんじゃないかって葛藤が俺の中に生まれたんや。そいつが喰らいつくす前に俺が喰らいつくしてしまいたかった。でも、でもでもでもでも俺は待とうと思ってたんや。」

　

　あの言葉を聞くまでは

「ゾムの隣の部屋が俺の部屋なのは知ってるやろ？あの時、俺部屋に居たんや。血の香りがして、しかもそれが隣の部屋に入っていったもんだから、俺は心配して、何かあったときは助けにいけるように聞き耳を立ててたんや。」

「そこで聞こえたんや、“特別”って。」