【d！】宇宙人にさらわれた。２ (ページ19)

今日:3 hit、昨日:27 hit、合計:16,533 hit

君はいつもどおりページ19

・

思考することを放棄した私の耳に、この部屋へ人が入室した音が聞こえる。

ドアの音と床に擦れる靴の音

そのまま真っ直ぐ私のいる場所へと近づいてくる足音に私は恐怖した。

誰、だれなの？

躊躇いもなくその人物は私のベッドを囲うカーテンを開け放つ。

ふわふわな水色の髪に、特徴的な羽。トレードマークの瓶底眼鏡を外し、美しいトパーズの瞳を覗かせる彼がそこにいた。

あぁ、そう言えば私を助けてくれたのって

フラッシュバックするのは誰かに抱えられた記憶と目の前にはある瞳と同じ瞳。

少しの安堵と不安。

私の心とは対象的に彼はいつも通り私に話かけてくる。

ci「うわ～めっちゃ痛そう。痛くないんA？」

何だか毒気を抜かれて、警戒心なんて何処ぞに彼に安心してしまった。

『．．．．腕あげたら痛いくらいかな』

ci「そっか。．．．．．大丈夫なんA？」

『うん、そこまで動かさなきゃ大丈夫。』

ci「いや、そっちじゃなくて

　

　心のほう

　

その言葉を受けて、脳は半ば強制的に自身の精神状態を探り出す。

大丈夫じゃないよ、大丈夫なわけないじゃん

『大丈夫そうに見える？』

八つ当たり。自分でも分かってる。刺々しい物言いに、少し自分が嫌になる。

ci「いや、見えんな〜」

そんな私の言葉さえ軽く受け止めてしまう君にまた一つ安心して、私の頬にはいつの間にか涙が伝っていた。