【d！】宇宙人にさらわれた。２ (ページ17)

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この人もページ17

ut side

Aちゃんに何かあった時のために、医務室に待機して数時間。

Aちゃんが一向に来る気配はなく、上手く仲直り出来たのだと、安心する気持ちと少しだけ願っていたことが叶わなかったことへの感情が入り交じる。

あーあー、仲直りしちゃったか。

俺は、この船の中で一番彼女に信頼されていない。

だって俺だけさん付けだし、エーミールもやけど童帝だから理由が違うやん。

よーいどんで皆が本能を理性で収め、彼女に距離を詰める中。俺だけが本能に従い俺だけが好感度が下がった。

やっぱりあの時、最後までいってればな。そしたら、彼女のお腹に俺の子が宿っていたかもしれないのに。

俺達の子なんて、絶対可愛い。

ガキは嫌いやけど、Aの子やったら絶対可愛がれる自信しかない。

でも、今はひたすら待ちの姿勢や。

最初から好感度が低いと、そこから下に下げることは難しくても、上げることは簡単だ。

現に、過呼吸になった彼女を少し支えただけで、俺の好感度が上がっていた。

漁夫やな漁夫。あん時のショッピみたいに漁夫狙うのが一番リスク少なくて、利益がでかい。

そんな事を考えていたら、数時間前まで動いていた彼女が今にも死に絶えそうな呼吸でチーノに横抱きにされてきた。

ci「大先生！Aがっ」

俺が頑張って巻いた包帯はボロボロになり、彼女の傷は開いて、真っ赤になっていた。

ut「ゾムかっ？」

ci「いや、シャオさんや。あの部屋で、Aを．．．」

“あの”部屋か。あいつ当分使ってなかったのに、

そう脳が、思考すると同時に捨てたはずの記憶が蘇る。

シャオロンがあの部屋を使わなくなった原因を、俺等をより狂わせた“あいつ”の記憶を。

俺は頭を振って、余計な事を脳から放り出し、目の前のAの治療に専念する。

ut「チーノ、お前も手伝って」

ci「了解。」

さて、腕の見せどころだ。