【d！】宇宙人にさらわれた。２ (ページ2)

今日:27 hit、昨日:16 hit、合計:16,530 hit

生きているページ2

薄っすらと意識が覚醒していく感覚

少し開けた視界からは人工的な眩しさを感じ、それが鬱陶しく目を閉じる。

起きなきゃと脳が語りかけるが私の体は答えない。

その格闘を数分続け、私はやっと目を開けた。

いつも以上にぼぉーっと体が動かない。

視界にはこれでもかというほど白。

白いベッドの周りをぐるりと白いカーテンが多い、私の服も真っ白。

左肩に巻かれた包帯も真っ白だった。

あれ、何で包帯ついてるんだろう。

あ、思い出した。

ゾムに噛まれたんだっけ、

　

ヒュッ

その事を思い出した途端、体が空気を求め、泣くときのような音が出た。

あ、怖い、怖い怖い

体が言うことを聞かない。

震えた手足は、シーツをぎゅっと掴んでもおさまらなくて

痛みはないのにジクジクと噛まれた場所に熱さと、あの時の感覚が蘇る。

滲んだ視界にはさっきまでいなかったゾムがいるかのように見える。

『はっ、はぁっ、ぁっはぁっ』

速くなる鼓動と呼吸。

素早く吐いては吸ってを繰り返し、酸素が脳に回っている気がしない。

ut「Aちゃん大丈夫か！？」

突然シャッとカーテンが開いて、白衣姿の彼が見える。

検査の記憶が蘇るが、抵抗する気力など私にはない。

あぁ、襲われてしまうのかと半ばやけで彼の事を睨みつける。

ut「何もせんよ。大丈夫。」

始めて聞くような、優しく温かい声。

私の丸まった背中をさすり、手を握りながら

吸ってーー、吐いてーーーーと声をかけてくれる。

弱っているからだろうか、安心感が強くて、私の呼吸は段々ともとに戻っていった。