第11話 ページ12
｢おいおい、お前、そんなこと言っていいのかよ｣
僕がA・エルヴァナなんて知らないと口走った時、同じ団員の男は僕にそう言った。けれど、知らなくて当たり前だった。そんな名前、本当に覚えがないのだから。
｢いいんだよ。……本当にその名前、知らないし｣
｢その割に、そこの角にいた女の子の魔力を探ってたじゃねぇか｣
｢っ、それは！｣
｢あの子、走っていっちまったよな。……あの子が、A・エルヴァナなんじゃねぇの？｣
｢……｣
うるさい。その可能性は僕だって気付いていた。気付いていて、突き放したんだ。だって僕は彼女に最初に言ってしまった。
───────僕も、好きになんてならないから。
正直、あの時の僕はどうかしていたと思う。家にフィーネスと呼ばれる女がいて、気が動転していたのだ。
……何故兄さんと話すのだと、何故兄さんの方が僕よりも勝っているのだとそちらばかりに気を取られていて、あんなことを口走っていた。
しまったと思った頃には遅くて。悲しげに眉を寄せながら、分かりましたと言われた時、僕は後悔のような苦しさを胸に感じた。
それは、僕が初めて抱いた感情だった。
｢……で、追いかけなくていいのか？｣
…いけない、考え事をしていてぼーっとしていた。
｢は？ 僕が？｣
｢他に誰がいるんだよ。……だってお前、凄い顔してんのに自覚ないのか？｣
｢……は？｣
なんだよ、それ。と言いかけて、自分の顔を近くにあったガラスで確認する。綺麗に磨かれたガラスは鏡のように僕を映し込み、真実を映した。
｢気付いてなかったのか。なんかお前……泣きそうな顔してんだよな｣
｢は、はは。ほんと、だ｣
ばかみたいだ。自分から、相手を突き放しておいて。身勝手にも程がある。……そう、思うのに。
｢…っ、行ってくる！｣
｢おー、そうしろそうしろ。後悔すんなよ｣
背中に応援の言葉を受けて、走り出す。彼女の特徴的な魔力だけを探し求めて、彼女の後に並ぶ形で彼女を見つけた。
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アオ - この作品凄く面白いです。更新待ってます。 (2019年5月14日 0時) (
レス) id: c32429c7d7 (このIDを非表示/違反報告)
マルメロ(プロフ) - 狐さん» 返信が遅くなり、申し訳ありません。素敵なお言葉を賜り、大変有難い思いで一杯です。有難うございます(´∀｀*)更新も、これからペースをあげていきたいと思っています。応援有難うございました。 (2019年1月28日 22時) (レス) id: dcb3f35ff0 (このIDを非表示/違反報告)
狐 - とても面白かったです！更新頑張ってください！ (2019年1月12日 21時) (レス) id: 8761e041e7 (このIDを非表示/違反報告)
マルメロ(プロフ) - 零(ゼロ)さん» 返信が遅くなり、申し訳ありません。嬉しいコメント、有難いです(´∀｀*)ここのところ試験や大学の受験勉強などで忙しくしていたので、これからはもう少し更新出来るかと思います。応援有難うございました。 (2018年11月26日 12時) (レス) id: dcb3f35ff0 (このIDを非表示/違反報告)
零(ゼロ)(プロフ) - とても面白かったです！これからも応援しています！頑張って下さい！ (2018年11月14日 15時) (レス) id: 9a3d801151 (このIDを非表示/違反報告)
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