Inequality Love【Y.Masakado × F.Onishi】 (ページ40)

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大西くんは何とも言えない顔をしてたけど、
それ以上何か言うことはなかった。

そんな私たちを見ながら安達先生は
嫌われついでにもう一つだけ、と続けた。

安「一つだけ、忘れないでほしい。教師と生徒である以上、全部が全部許される訳じゃない。

西畑さんが本気なら、この前私が言ったこと、頭の片隅にでも置いておいて。」

『……はい。』

私の返事を聞いた安達先生は
小さくひとつ頷いて、
最後に何か言いたいことはある？と私に聞いた。

だから、気になっていたことを聞いた。

『あの…なんで私に目をつけたんですか？』

安「え？」

『や、その…安達先生が来てから私、ほとんど正門先生と話してなかったですし…』

どこかにそんな片鱗なんてあっただろうか。

強いて言えば数学の成績がいいくらいだけど…

と思い返しながら不思議に思ってたことを聞けば、
安達先生は、小さく笑いながら答えた。

安「目、かな。」

『目？』

安「面談の時、私に研修の話を聞いてきたでしょ？その時勘付いて、その後も様子を見てて、正門先生を見る時の目が他の子と違った。

…まあ簡単に言うと、私と同じ目をしてたというか」

『なるほど…』

安「多分自分で思ってる以上に滲み出てると思うから、お気をつけて。笑」

そうなのか、無意識のうちに…

そんな感情ダダ漏れなのかと思うと、
途端に恥ずかしくなってきた。

いや、あれだけ追いかけ回しといて、
何を今更って話かもしれないが。

安「じゃあ私はもう行くわね。2人とも元気で。」

『…はい。』

安「……準備室、今の時間ならいるかもね？」

そう言って、安達先生は去っていった。

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安達先生の最後の一言は、
決して私の背中を押したわけではなく、
罪滅ぼしなのだろうと思った。

それでも私は今、
数学準備室の前に立っていた。

何を伝えに来たのか、
正直自分の中でもあまりまとまってない。

けど、今先生に会ったら答えがわかる、
となんとなくそんな気がした。

明かりが付いていることからも、
中に人がいることは違いない。

一つ深呼吸をしてから、
私は扉をゆっくりと開けた。

『失礼します。少しお時間いいですか……正門先生。』

この部屋で正門先生を見るのは
随分と久しぶりな気がした。

先生はどこか、私が来ることを
わかっていたかのような顔をしていた。

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