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大西くんが後ろで受け止めてくれている、
と気づいたのは、彼の腕の中で目を開いた時。
心底焦ったような顔で、
私を覗き込む彼と目があった。
風「大丈夫か！？」
『え、…と』
風「…怪我はなさそうやな」
少しずつ後ろへと下がっていった私は、
気づかないうちに階段の淵まで来ていて、
ついに踏み外してしまったらしい。
それを間一髪で助けてくれた。
一歩間違えばどうなるかわからなかった状況を、
今更理解して血の気がひく。
そんな私を見た大西くんは、
大丈夫。とでも言うように私の手を握りながら
ちゃんと立たせてくれた。
そして安達先生を軽蔑したような目で見た。
風「あんた、何がしたいん」
安「え、…」
風「こんな風に生徒のこと追い詰めて、あと一歩で大怪我させるとこまできて、それでもほんまに教師か？」
安「それは、私もそんなつもりじゃ、」
風「然るべきとこに報告だかなんだか知らんけど、正門の立場を悪くして満足なん？それが望みなん？」
安「っ、…」
黙り込んだ安達先生をしばらくじっと見た後、
行こう、と大西くんは私の手を引いた。
そのまま裏庭のベンチまできて、
私を座らせた大西くんは
待ってて、とその場からいなくなった。
1人になった瞬間、
さっきまでのことで頭がいっぱいになる。
やっぱり正門先生の元カノは安達先生だった。
今までの悪運もやっぱり気のせいじゃなくて、
きっとわざとやられてたんだ。
そこでふと思う。
正門先生が突き放すようなことを言ったのも、
もしかしたらそれが原因なのかも…？
キーンコーン…
『あ…5限…』
授業が始まってしまった。
けど戻る気にもなれない私は、
サボりを決め込むことにした。
こんなこと初めてで、少し不良になった気分。
そういえば大西くんは？
1人教室に戻ったのだろうか。
風「戻るかアホ」
『ぎゃっ！？』
風「ぎゃ、って…笑」
『いや急に現れるし、心読まれてるし…」
風「全部口に出てるから。丸聞こえ。」
『え、うそ』
風「てか待っとけ言うたやん。それやのに置いてくとかないし。」
『そっか…』
風「ん。これやる。」
『え、ありがとう…』
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作者名：ふぉんと
| 作成日時：2022年12月27日 22時
