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気まずくなくなってきたのと同時に、
印象も少しずつ変わってきた。
仏頂面で怖いだけだった大西くんは
思ったよりも表情豊かだ。
それこそ時折こんな風にふっと笑ってみたり。
初めてこの優しい雰囲気を見た時は
結構驚いたんだっけか。
あれはたしか…
とそこで思考をストップさせる。
風「なに考えてんの」
『っ、な、なんでもない！』
初めて見たのは日誌を書いていた時。
あの時もこんな風に2人で放課後の教室にいた。
向かい合って話すうちに、急に大西くんが怒って…
放っておくとどんどん続きを思い出す自分の脳を
必死で切り替えようとしていると、
「なぁ、覚えてる？」と言われる。
風「前にもあったよな、こんなん」
『そ、そうだっけ！？』
風「あん時たしか俺はこっちに座ってて、」
と西村の椅子に移動した大西くんは
一体何をしようとしているのか。
待って、この流れはまさか…
いやあれは私のやばい妄想じゃないの！？
という心の叫びはまったく届かず、
一つ一つ順を辿るように再現していく大西くん。
それに対して何も言えず固まるしかない私。
風「…で、そん時ここで、」
『す、ストップ！！』
風「…なに？」
やっとの思いで出た静止の声に、
怪訝そうな顔をされるけど。
でも今はそんなの気にしてる場合じゃなくて。
確かめなくては…。
『…あの、それって現実？』
風「は？」
『ご、ごめんなさい…』
現実？と聞いた時の
"お前何言ってんの？"感がすごく、
とてつもなく冷めた目で見られる。
あ、この蔑む感じも久しぶり…。
いやそんなこと言ってる場合ではなく。
『だからその、…あの時こんな風に話してて、』
風「……。」
『それで、その、最後に… 』
風「最後に？」
『…最後に、大西くんが私に……キス、のようなものを…』
こんなこと真顔で堂々と言えるわけもなく、
目線は自然と下がっていき、
声はどんどん尻すぼみになる。
そして勇気を振り絞った私に対して、
大西くんからのリアクションは何もない。
恐る恐る様子を伺えば、
頬杖をついて真顔でこちらを見ている。
な、なんだこの顔は…何も読めない…。
とポーカーフェイスに頭を悩ませていると、
風「するわけないやんそんなん。」
と、大西くんが言った。
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作者名：ふぉんと
| 作成日時：2022年12月27日 22時
