6.3 ページ35
.
私たちはこの2年半のことを話した。
キャリアを順調に積む彼らは、
3ヶ月後にライブツアーが始まるらしい。
それぞれの個人仕事も充実していて、
正門くん、末澤さんは演技を、
リチャードくん、こじけんはバラエティ、
福本くんは秀才タレントとして、
それぞれの武器を生かしている。
そして佐野くんは、
今度主演舞台が決まったらしい。
『おめでとうございます…！』
佐「ありがとう！ずっと挑戦してみたかったから、めっちゃ気合い入ってます。」
『これまでの努力の結果です。自信持ってください。』
佐「…Aさんはそう言ってくれると思った。この感じ、なんか懐かしいですね。」
佐野くんは楽しそうに笑って、
つられて私も、懐かしい気持ちになる。
そんな私の手を取り、
じゃあ次は、Aさんの番です。と言った。
『……私はさっき話したじゃないですか。』
佐「うん、こっちに来てからのことはね。俺が聞きたいのは、ここに来るまでのこと。
…なんであの時、何にも言わないでいなくなったんですか？」
真っ直ぐに見つめられて、
もう逃げられないことを理解する。
言葉を選びながら、私はゆっくりと話し出した。
『…Aぇ!groupのマネージャーになった時、決めたことが２つありました。それはAぇ!groupが売れるためならなんでもすること、そして、絶対に特別な感情を持たないこと。
…私は、それが守れなくなってしまったんです。』
佐「…うん。」
『本当は、みなさんが昇り詰める姿を一番近くで見守っていたかった…。だから、留学の話をうけるのも迷いました。それくらい私は、Aぇ!groupに愛着があったし、１ファンでした。でも…
ある時、その域を超えた感情が自分の中にあることに気づいて…だから、みなさんから離れることを選びました。』
佐野くんは真剣に耳を傾けてくれた。
あの時のことを思い出しながら、
話を続ける。
『そしてあの日…私は、貴方の気持ちを無責任に受け入れました。翌日には姿を消すのに、一時の自分の感情を優先してしまいました…』
やるなら徹底して隠し通すべきだったのに、
最後の最後で自分で決めたことを破った。
ましてや自分に向けられた好意を
利用した私は、どこまでも勝手な人間だ。
『佐野くん、あの時言いましたよね？ズルいって。…その通りです。私はズルい人間なんです。』
話せば話すほど、合わせる顔がなくなった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 503人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はっすんLOVE(プロフ) - 大橋和也推しですがAぇ! groupの中ではさのちぇ推しです！キュンキュンがとまらなくて、あっという間に読んでしまいました！こんないい作品と出会わせていただき本当にありがとうございました！！ (11月22日 23時) (
レス) @page50 id: fba4ba4a41 (このIDを非表示/違反報告)
ふぉんと(プロフ) - まさやちゃんさん» ありがとうございます！ベタ惚れ年下わんこまさやを楽しんでいただけて嬉しいです！！ (2022年11月23日 11時) (レス) id: 448ad39150 (このIDを非表示/違反報告)
まさやちゃん - よすぎました。実際に私はまさや担でありまさやより7歳上です。設定は5歳差だけどまさやちゃんと年の差の女性のはなしですごく入り込んで読めました。 (2022年11月18日 15時) (レス) @page50 id: ae4eb103cc (このIDを非表示/違反報告)
ふぉんと(プロフ) - ちいさん» 素敵なコメントありがとうございます！自分の中の佐野くんイメージを詰め込んでいたので、そのようなお言葉をいただけて今とても安心しているのと、とっても嬉しいです( ; ; ) 今後また別のお話で出会えますように…！ (2022年3月13日 21時) (レス) id: 765da10685 (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - 完結おめでとうございます！可愛らしさや真っ直ぐな純粋さが詰まった佐野くんに魅了されて、キュンキュンしながら読んでいました！また、他にも素敵な作品が読めること期待しております！ (2022年3月13日 21時) (レス) @page50 id: 40fb126c86 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふぉんと
| 作成日時：2022年3月7日 14時
