5.6 ページ21
.
A「…いえ、ありがとうございます。大変参考になりました。」
『ほんまか？全然なんも伝わってなくない？』
A「リチャードくんが一生懸命に伝えようとしてくれていることだけで、十分嬉しいです。ありがとうございます。」
『…ならいいけど、』
恥ずかしいくらい薄い情報しかないのに、
満足げに頷く蒼山さんは不思議だ。
ありがとうございます、と再び頭を下げ、
蒼山さんはどこかへ行った。
.
ドラマの撮影は終盤にさしかかっていた。
あの一件以来、
現場での私のイメージはあまり良くない。
別に私個人の評判はどうでもいい。
だけど"Aぇ!groupのマネージャー"という
肩書きのせいで彼らの評判を下げている気がして
それが本当に心苦しかった。
誠「…ちゃん、Aちゃん！」
『…あっ、すみません！どうかしましたか？』
誠「ボーッとしてたけど大丈夫？」
『大丈夫です。少し考え事してました…』
誠「ならいいけど…」
心配そうに覗き込まれてしまい、
末澤さんに申し訳ない。
留学するしない関係なく、
今は目の前の仕事に集中しなくては。
末澤さんに頼まれたおつかいのため、
スタジオを出てコンビニに向かう。
エレベーターが閉まりかけていたけど、
時間もあまりなく滑り込みで乗せてもらう。
そして中に駆け込んでから後悔した。
『っ、…お疲れ様です。』
佐「…お疲れ様です。」
2人しかいない空間は、どことなく重い空気で、
下に着くまでの数十秒間が怖いくらい長い。
佐野くんと2人きりになるのは
あれ以来初めてのことだった。
意識だけでこんなにも変わるものか、
というくらい、私は今緊張している。
思いを寄せる人がすぐそばにいて、
まるで初恋のようにドキドキするのだ。
全身に響く心臓の鼓動が、
空気を伝ってバレてしまわないか不安なくらい。
そんな柄にもないことを考えていたら、
佐野くんが私の方に手を伸ばした。
『…っ！』
佐「あ、ごめんなさい…」
驚いてその手を大袈裟に避けてしまい、
その反応に佐野くんも驚く。
そして髪に埃ついてるから、と
少し悲しそうに言う。
…私は何をしてるんだ。
思春期の男子みたいな反応をする自分に
嫌気がさした。
『……すみません。』
佐「いや、別に…(そこまで嫌がらんでも…)」
『……(あれ、あれ？)』
佐「…全然取れてないわ。ちょっと動かんで、」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 503人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はっすんLOVE(プロフ) - 大橋和也推しですがAぇ! groupの中ではさのちぇ推しです！キュンキュンがとまらなくて、あっという間に読んでしまいました！こんないい作品と出会わせていただき本当にありがとうございました！！ (11月22日 23時) (
レス) @page50 id: fba4ba4a41 (このIDを非表示/違反報告)
ふぉんと(プロフ) - まさやちゃんさん» ありがとうございます！ベタ惚れ年下わんこまさやを楽しんでいただけて嬉しいです！！ (2022年11月23日 11時) (レス) id: 448ad39150 (このIDを非表示/違反報告)
まさやちゃん - よすぎました。実際に私はまさや担でありまさやより7歳上です。設定は5歳差だけどまさやちゃんと年の差の女性のはなしですごく入り込んで読めました。 (2022年11月18日 15時) (レス) @page50 id: ae4eb103cc (このIDを非表示/違反報告)
ふぉんと(プロフ) - ちいさん» 素敵なコメントありがとうございます！自分の中の佐野くんイメージを詰め込んでいたので、そのようなお言葉をいただけて今とても安心しているのと、とっても嬉しいです( ; ; ) 今後また別のお話で出会えますように…！ (2022年3月13日 21時) (レス) id: 765da10685 (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - 完結おめでとうございます！可愛らしさや真っ直ぐな純粋さが詰まった佐野くんに魅了されて、キュンキュンしながら読んでいました！また、他にも素敵な作品が読めること期待しております！ (2022年3月13日 21時) (レス) @page50 id: 40fb126c86 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふぉんと
| 作成日時：2022年3月7日 14時
