ノーノーマル２【喧嘩独学】

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喧嘩オタクの舐めている態度に志村は憤り、声を上げながらその顔面へ殴りかかろうとした。


「オーバーハンドフック！」


しかしこれも意味をなさず、喧嘩オタクは頭をかがめ彼の拳を避ける。
陰キャが避けれる筈ないだろう！演技を徹底しろ演技を！


「視聴者のみなさん見ましたよね！元祖は僕たち喧嘩独学なんです！」


カネゴンは必死で喧嘩オタクが自分たちがパクられと主張するが、時は既に遅かった。

『喧嘩独学なにしてんの？？』

『喧嘩オタクが嫌がってんだろ』

『さすがにないわ〜』

はああ、と吐いた息は足元に吸い込まれていった。
視聴者は喧嘩オタクの本性なんか知る由もない。そのため、一方的に彼へ暴力を振るおうものなら、部外者からはこちらが悪者にしか見えないのだ。


「返せ！俺のニューチューブ返せ！」


そんな事態になっているとは思いもしない彼は、頭を抱え体を縮こませる喧嘩オタクの背中を殴り続ける。
傍から見れば黄色マークがついた腹いせにストレスを発散しているようにしか見えないだろう。


「お前が！俺のニューチューブをパクって！お前の社長が黄色マークをつけたんだろ！」


これじゃあ弁解しても火に油をそそいでしまう。
ううむ……どうしたものか……


「志村！ケンカしちゃだめだ！
視聴者たちが喧嘩オタクを応援してるんだよ！」


その言葉に、志村の手ははたりと止まった。


「……俺じゃなく、喧嘩オタクを？」


思わず頭を抱えた。すこし考えれば分かるはずだったのに……やってしまった。


「みなさんの声援が届きました。僕もそろそろ反撃を開始します。」


そう言った途端、喧嘩オタクはぐっと膝を折ったかと思えば、


「ロケットパンチ！」


その反動で勢いよく体を伸ばし志村の顔面へ頭突きをした。


「乳 首アタック！」


と称しながら、カメラに映らないようにして志村の鳩尾を殴った。


「太ももつねり！」


身をかがめて志村の太ももを抓り、手に物凄い力を入れる。あまりの痛さに彼は体をふるふると震わせながら後退った。


「次の喧嘩オタクの技は〜」


喧嘩オタクはリズミカルに体を揺らしながら志村との距離を縮めていく。彼はまたもや殴られてしまった……が、志村は突如喧嘩オタクにタックルをし、後ろの金網に喧嘩オタクを押し付けた。


「……なんだ？今さらタックル？」

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