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京「急に声掛けてごめん。まさか東京で会えるなんて思ってなかったから。」
「本当、久しぶりだね。」
京「ちょっとでもいいから、話されへん？」
「…5分だけなら。」
京ちゃんと別れてからもう1年ほど経った。
大好きで、私の全てだった人。
久しぶりに会った京ちゃんは前より大人びていて、でも何だかまだ私への気持ちがあるように感じた。
これで最後。もう二度と会わないし、京ちゃんとは蟠りなく終わることが礼儀だと思うから。
カフェに入ると何だか賑やかで、ふとその中心を見る。
「え？」
カメラに囲まれた廉と目が合って、廉はすぐにそっぽを向いた。
京「あれ？Aの好きな永瀬廉くんじゃない？」
「…本当だ。撮影の邪魔したくないから、静かにしとかないとね。」
廉は何事も無かったかのように撮影を続けてて、それを見てチクリと胸が痛む。
…さすがに、こんなところを見られると誤解されるよね。
京「俺、Aにしたことめっちゃ反省した。だからって許してもらえるとは思わんけど、あれからずっと後悔してる。」
「そっか。」
京「今でもずっと、俺にはAしかおらんねん。あんなに長いこと付き合ったのに、最終的には俺が傷付けた。本当に、ごめんなさい。」
「…うん。」
京「俺、ちゃんと変わったから。…もう二度と、Aのこと傷つけたりせえへん。」
「…私、彼氏できたの。だから、京ちゃんとはもう会うつもりはないよ。」
京ちゃんにだけは、嘘をつきたくなかった。
相手のことは言えないけど、彼氏がいることはしっかり伝えたかった。
一度は運命だと思って、結婚まで考えた人。
でも結局は私を傷付けた人だから、京ちゃんのために廉を傷付けるのだけは嫌だ。
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作者名：鈴翔 | 作成日時：2023年10月14日 4時
