幼馴染みのアイドルくん。2 (ページ29)

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「ふぅ、疲れましたね(笑)」

田「めちゃくちゃ緊張しました(笑)でもやっぱり春野さんはすごいですよね。」

「え？」

駅までの道を歩きながら、田山さんがポツリと呟く。

私から見たら田山さんの方が凄かったけど。

田「一人ひとりの好みまで把握して、皆さんから信頼されているのも伝わってきました。」

「んー、どうですかね？何年も担当させていただいているので信頼関係は意識してますけど、もしそうだったら嬉しいです(笑)」

田「僕は前職で信頼関係の難しさを学びました…。」

田山さんは遠い目をして苦笑いしていて、

どこか寂しそうなその姿が廉と被って見えた。

「…今日はもう仕事も終わりですし、気分転換にカフェでもどうですか？」

私は昔から人の気持ちに敏感で、だからこそ今は1人にするべきじゃないと思った。

幸い時間もまだ16時前だし、さすがにこの状態では帰れない。

田「…ありがとうございます。」

カフェに移動し、案内された席に座り注文を済ませる。

「私、幼い頃から大阪にいたんです。意外とみんな上辺だけの付き合いで、信頼できる人なんてほとんどいませんでした。」

田「…？」

「でも、ほんのひと握りだけ本当に信頼できる人がいて、その人たちの存在に救われていました。」

何の脈略もない話を、真剣な顔で頷きながら聞いてくれる田山さん。

「全員と信頼関係が築けたらいいんですけど、世の中そう上手くは行かないですからね。だからなるようになる精神で生きてます。」

田「…ありがとうございます。何だか、春野さんは信頼できそうな方ですよね。」

「仕事でもプライベートでも、好きなように楽しみましょう！何かあったらサポートしますし、私のサポートもしてください(笑)」

なんてふざけているうちに、少し緊張が解けたように笑う田山さん。

ひとしきり話した後は駅まで歩いて、そのまま解散した。