夢の中で、君と出会って。 (ページ37)

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《…俺、やっぱりAじゃないとあかんねん。》

「それは、まだ他の人に出会ってないだけじゃないの？」

《色んな人に出会ったよ。でも、Aやったら…って。今月から東京に転勤になったから、ちょっとでも会われへん？》

この人は、本当に変わってくれたのかもしれない。

でも、別れる時に決めたから。

「…わかった。ちゃんと直接話して、これで終わりにしよう。」

電話を切ると、涙が込み上げてくる。

…何で今なん？

私、半年もずっと我慢してたのに。

別れるまでに変わってくれへんねやったら、別れたら二度と復縁せんって決めたのに。

2年半付き合った相手やからか、こんな電話で簡単にグラつく自分が情けない。

平「…Aちゃん。」

「紫耀くん…？」

平「よしよし。何かあっても、俺がいるからね。」

トイレに行こうと通りかかった時に途中から聞いてしまったらしく、電話相手も察してそうな紫耀くん。

泣きじゃくる私を抱きしめ、優しい手で背中をさすってくれる。

「…ふふ。」

平「お、元気出た？」

「うん！しょうお兄ちゃんと同じで懐かしくなった(笑)」

私が笑うと、紫耀くんもまだ心配そうな顔で笑う。

平「…元彼に会う時、ちゃんと好きな人か彼氏いるって言うんだよ？」

「え？」

平「じゃないと、取られちゃうでしょ。」

真っ赤な耳でそう言って、プイッと顔を背ける。

平「ほら！戻るよ？みんなもちょっと察してたし、泣いてたのなんて忘れて楽しんじゃえ！」

そう言う紫耀くんに手を引かれ、私たちはさっきの部屋へと戻った。