【君思ふ】戦国無双(短編夢小説) (ページ5)

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其の五【茶会(ほのぼの)】義トリオページ5

※【愛情の裏返し】関連作

三成が茶会を開くと謳ってから、早数日。

今日はその日である。

三成はAの他にも左近や吉継、さらには幸村、兼続らにも声を掛けていた。

だが当初参加予定だった左近と吉継は、急遽外せない事案が発生したとの事で、今回は参加を断念した。

幸「いやぁ、楽しみですね」

「はい。とても！」

Aと幸村は共に三成が待つ茶室へ向かっていた。

幸「ところでAさん、その風呂敷は？」

幸村がAが手に提げる風呂敷袋に目を向けながら問いかけた。

「あ、これは餅です。城下町に美味しい甘味処があって、よもぎと餡の二種類の餅を持ってきました」

幸「おお、なんと準備の良い」

「幸村殿も後でぜひ召し上がってください」

幸「ありがとうございます！」

二人は話をしながら、あっという間に茶室の前まで到着した。

幸「幸村とA殿が参りました」

躙口【(にじりぐち)茶室の客用出入口】の外から幸村が声をかけると、少しの間を置いて「入れ」という三成の短い返事が返ってきた。

幸「お邪魔します」

「失礼します」

中へ入ると、三成はすでに釜で湯を沸かし準備に取り掛かっていた。

客畳に座るよう促され腰掛けると、抹茶の味わい深い薫りが辺りに漂った。

「良い薫りがしますね」

三「言っただろう、格別な茶を用意すると」

幸「三成殿は実に器用でございますね」

三「このぐらい誰にでも出来る」

三成は温めた茶碗に湯を注ぐと、手際良く抹茶を点て始めた。

幸「いや、、これは誰にでも出来ることでは…」

「無いですよね；」

幸村とAは顔を見合わせ、苦笑した。

三「そう言えば一人まだ来ぬな」

「えっ、、まさか殿、本当に茶会のために兼続殿を越後から佐和山まで呼び寄せたのですか…！？」

幸「！！」

Aの言葉に幸村もまさかと驚愕したが、三成は至って涼しい顔をしている。

三「違う。奴は今、別件でこちらに来ている。だから声を掛けたのだ」

幸「な、なるほど！」

「そうだったのですね！(ほっ)」

内心、三成なら越後からでも呼び寄せ兼ねないと思っていた二人は安堵した。