【君思ふ】戦国無双(短編夢小説) (ページ4)

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其の四【ツンデレな殿(ほのぼの)】左近ページ4

※【愛情の裏返し】関連作

「左近殿、聞いて下さい；」

左「おや？Aさん」

Aは左近と同じく三成に仕える女剣士である。

普段凛々しい彼女がこうして訪ねてくるのは、きっと三成の事でだろうと左近は予想した。

「殿ったら酷いんですよ、、」

左「ええ、貴女の様子からきっとそうだと思いましたよ」

「えっ；なぜ分かったのですか」

左「はははっ、気付いていませんか？貴女が俺を訪ねてくる時の大半は、殿の事なんですがね。」

Aはハッとした表情を浮かべた。

「わっ私ったら、そんなに左近殿に愚痴をこぼしていましたか；」

左「いや、貴女がそう仰りたくなる気持ちは充分理解出来ますよ。うちの殿にはそういうところがありますから」

それで？と左近はAに話の本筋を促した。

「実は…此度の戦、私は出陣しなくていいって言われてしまったんです」

左「！…なるほど」

「少しでも殿のお役に立ちたいのに…これじゃまるで必要とされてないみたいで…」

忠義に厚いAにとって、出陣するなという言葉以上に聞きたくない言葉は無いはずである。

(殿は人の感情に対して疎いですからねぇ…)

だがそれが決して、本意でないことも左近にはすぐに分かった。

左「恐らく全く逆だと思いますよ。Aさんは殿にとって必要な存在だからこそかと。今回の戦は多勢に無勢ですからね…」

「そんな！私は戦えます！」

引かない様子のAに、左近は頭をかいた。

左「やれやれ…これを俺が言ってしまって良いものか…」

「？」

左「恐らく殿はAさんを…」

三「お前達。そこで何をしている」

「！？」
左「！(げっ…殿；)」

左近は言いかけた言葉を全て飲み込み、何事も無かったように振る舞った。

左「Aさんが軍略について訊ねてきたんで、少し話をしていた所ですよ。ね？Aさん」

「は、はい！」

三成は訝しげな視線を送りながらもAを横見た。

三「用がある。来い」

呼ばれたAは、左近に会釈して三成の後を追った。

〈恐らく殿はAさんを危険に晒したくないんでしょうねぇ〉

伝えられなかった言葉の続きが左近の中で反芻した。

三成がそう思うことが、Aに対してどういう感情からなのか。想像に容易い。

だが当人たちはあの様子である。

(殿はツンデレですからねぇ…)

難儀な話だと思いつつ、さて自分はどう立ち回ろうかと画策する左近であった。