其の一【花見(ほの甘)】吉継 ページ1
桜が綺麗に咲き誇る日本庭園の縁側で、Aと吉継は並んで腰掛けていた。
「綺麗ね〜」
吉「ああ…今この瞬間は乱世を忘れるようだな。。」
「うん、、」
誰もが戦国の世の終わりを望みながら、戦っている。
吉継も当然その一人だ。
吉「A、今日は俺を誘い出してくれて感謝している」
日々政務に追われる吉継に少しでも休んでもらいたい。
そんな思いからAが共に花見をしないかと、
吉継に声を掛けたのだった。
「感謝だなんて大袈裟よ。私も二人でお花見したかったから、今日出来て本当に良かったわ」
屈託なく笑いそう述べる彼女を見、吉継の表情も自然と和らいでいく。
吉「大袈裟などではない。事実、俺はお前にどれだけ救われていることか。」
「吉継…」
吉「お前の存在は俺の精神的主柱となっている。無くてはならない」
ふと、吉継はAの方に身体を向けた。
吉「A…乱世のその先もずっと、俺の隣に居てくれるか？」
「ええ、もちろん。私はずっと吉継のそばから離れない」
Aは深海のように澄んだ青をした吉継の瞳を一心に見つめた。
吉「ありがとう」
Aの手に吉継の手が重ねられた。
優しく包まれる感覚は、暖かくて心地良い。
吉「お前を…生涯離さぬ」
「うん」
吉継は自身の口元を覆う布に手を掛けた。
吉「俺の素顔を知るのは、お前だけだ」
「！」
自身をさらけ出してくれる、
吉継の自分に対する信頼が嬉しかった。
そのままゆっくり吉継の顔が近づき、その口元はAの唇と重なった。
吉「………」
「…んっ」
Aに重ねられた吉継の手に力が篭った。
桜の花弁が風で舞い踊る中、
二人は時を忘れ甘い口づけが交わし続けたーー。
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作者名：まりる | 作成日時：2022年3月13日 21時
