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【72】・可愛さに気付かない彼女。 ページ6

『Aside』
個室座敷に案内する私は、他のお客様の様子を見ながら足を動かす。

ナツメ「あの、Aさん」

案内してる途中、躊躇った口調のナツメちゃんが私を呼び掛けた。

A「どうしました?」
ナツメ「旅館内にあった呉服屋って、人間でも行って良いんですか?」
A「勿論ですよ」

女の子だし、やっぱり気になるのかな。

A「此処の呉服屋は一日だけレンタルも出来るので是非、行ってみてください。着付けもやってますし、色々な種類の着物や振袖がありますよ」

最近じゃ、綺麗に着飾った女の子達が歩いているのをよく見掛ける。

アキノリ「そういうのに興味あったんだな」
ナツメ「ちょっと気になっただけだってば」
トウマ「でも、ナツメは似合いそうだよね。可愛いし着物や振袖を着た姿を見てみたい」
ナツメ「えっ?!か、可愛くなんて....」

トウマ君の言動に動揺するナツメちゃん。

A「(もしかして...トウマ君のこと....)」

初々しいなと感じつつ、私も着飾ったナツメちゃんを見てみたいと思っていた。

A「ナツメちゃんは、とても可愛いですよ。もっと自信持って良いと思います」

思ったままの本心を口にすると、ナツメちゃんの顔が赤くなっていく。

A「照れてる顔も可愛いですね」

微笑むと、今度は真っ赤になってしまった。

エンマ「これ以上やるとナツメが持たない。そろそろ止めてやれ」
A「私は、本心を言っただけですが....」
エンマ「....お前は無自覚にも程があるな、色んな意味で」

どういう事か分からず、首を傾げる。

エンマ「それもだぞ。自分の可愛さに気付いていないお前に言っても分からないと思うけどな」
ナツメ「本当そうです!!Aさん、自分の可愛さに気付いて無いんですか!」

急に怒られてしまった......。でも、ナツメちゃんが可愛いのは本当の事。

色々あったが、個室座敷に着いた。

A「あ、またデザートを作ってあるので良かったら食べてください」
アキノリ「よっしゃ!」
ナツメ「ありがとうございます!」

席に座った二人は、嬉しそうに顔を見合わせる。

エンマ「俺達の分は作ってないのか?」
A「それは、また後日作りますよ。つまみ食いしに来る人にはデザートあげませんからね」

最後に釘を刺して、食事処の厨房に向かった。

【73】・頼れる人達。→←【71】・嬉しかった大王様。



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作者名:カナミ | 作成日時:2024年2月7日 19時

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