【113】・甘えたい時。 ページ47
『Aside』
りんご飴を食べてたエンマは、机にそれを置いて暫く静かになった。
A「(どうしたんだろう....)」
心配になって声を掛けようと思った直後、お腹に手を回されて抱き締められる。
いきなりバックハグされ驚いてると、首の辺りに顔を埋めてきたエンマ。
A「えっと、大王様....?」
エンマ「....今は俺のことを名前で呼んでくれ。その敬語口調も崩して良い」
心做しか、いつものように元気が無く疲れている様子だった。
A「ちょっと疲れちゃった?」
私が問い掛けると、小さく返事を返す。
本当に疲れているんだなと思って、そのままエンマが離れるまで彼の好きにさせていた。
エンマ「悪いな、俺の我儘に付き合わせて」
A「我儘だなんて思って無いよ。だって、いつもはもっと遠慮が無くて自由気ままに行動されてるから慣れちゃったし」
私から離れたエンマは、その言葉に一瞬だけ驚いた後笑みを見せた。
A「それで、もう平気なの?今なら、エンマのこといっぱい甘やかして構ってあげられるよ」
エンマ「良いのか?」
本当は構って欲しかったくせに、その事を自分の口で絶対に言わない。
こういう時だけ意地でも言わない為、毎度の事ながら困ってる。
A「勿論良いに決まってる。ほら、おいで」
両手を広げると、真っ直ぐ私の胸へ飛び込んできた。
エンマ「彼氏として情けないな。お前だって、仕事で疲れてる筈なのに何もしてあげられてねぇ」
A「全然、そんな風に感じて無いけどなぁ。寧ろ、エンマやナツメちゃん達が此処の旅館に来てくれてさいつも以上に仕事をするのが楽しいよ」
彼女だから、という理由もあるけどナツメちゃん達はこの旅館に興味を持ってくれたり色々な事に可愛く反応してくれるから楽しませたいと考える。
A「彼女なんだから、彼氏の疲れを癒すのも普通のことでしょ」
普段は私が甘やかされる事が多い。
だから、今日くらいは素で甘えてきて欲しい。
A「あっ、あとね。いい加減、息抜きするのも大切だって事を覚えてよ?」
エンマ「何回も聞いたぞ、それ」
A「私が何回言っても覚えないのはエンマだよ。ちゃんと言う事を聞きなさいね」
私は納得してなさそうな彼の頭を撫でて、この部屋でゆっくり過ごしていた。
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作者名:カナミ | 作成日時:2024年2月7日 19時