【103】・猫又とエンマ様。 ページ37
『ナツメside』
Aさん達と分かれて、今は食事処に来ているんだけど....
ナツメ「あっ、あの可愛い猫妖怪ちゃん居る」
個室座敷に入った途端、机に置いてあった大判焼きを食べているあの猫妖怪の姿が目に入る。
呆れたと言わんばかりに、エンマ様は額に手を当てて溜息をついた。
エンマ「またか、猫又....」
猫又「自分のは構わないってイツキが自分で言ってたニャンよ?オレっち、あれから他の客達の大判焼き盗み食いしてないニャン!」
エンマ「確かに、そう言ったが...限度ってものがあるだろ」
前回と同じように猫妖怪を抱き上げると、エンマ様は自分の膝元に座らせた。
アキノリ「何かさ、この絵面シュール過ぎじゃない?あのエンマ様が膝元に妖怪を座らせるとか初めて見た」
ナツメ「そう?猫妖怪ちゃん可愛くない?」
トウマ「ナツメ、多分そこじゃないと思うよ」
私達も席に着いて、朝ご飯が運ばれてくるのを待っていた。
猫又「ニャ〜......オレっち、Aの所に行きたいニャン」
エンマ「Aは今、仕事してんだ。絶対お前、彼奴を困らせるような事するから此処で待ってろ」
猫又「嫌ニャ!」
どうしてもAさんの所へと行きたいのか、猫妖怪はジタバタとエンマ様の腕の中で暴れていた。
そして、微塵も腕を動かさないエンマ様。
ナツメ「(確かに、この絵面はシュールだ)」
なんて思っていると、仲居さんが朝ご飯を持ってきてくれた。
アキノリ「今日も豪華だな」
トウマ「毎日、こんなに豪華な朝ご飯が作れるなんて凄いね」
最後の最後まで朝ご飯は豪華。
デザートも勿論あって、さくらんぼのムースだった。
猫又「美味しそうニャン!1口くれないかニャ...」
私の方を見て、キラキラとした目を向けてくる。
ナツメ「(か、可愛い....!)」
自分の可愛さを分かってる系の猫妖怪だと思う。
エンマ「ナツメに強請るな。さっきまで、大判焼きを食ってただろ」
間髪入れずに、エンマ様はツッコんだ。
扱い慣れてるなと思いつつ、朝ご飯を食べる。
アキノリ「うん、美味い!」
トウマ「そんな急にかき込むと喉に詰まらせるよ」
ナツメ「ゆっくり食べなさいって....」
旅館の朝ご飯を食べるのも、今日と明日で最後。
それに、今日はAさんの為にやりたい事があるから頑張らないと。
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作者名:カナミ | 作成日時:2024年2月7日 19時