【90】・悪戯っ子。 ページ24
『Noside』
夕暮れ時。
全ての仕事を終えたAは、旅館内にある宴会場へと向かっていた。
A「(あまり此処に来る事ないから緊張する...)」
そして、宴会場が近くになるにつれ美しく儚い音色の和風曲が聴こえてくる。
A「(もう始まってるのかな)」
どんな風なのかと興味を持ったAは、宴会場の扉を開けて楽しそうに過ごすナツメ達の姿を見つける。
ナツメ「Aさん!」
A「楽しく過ごされてますね」
ナツメ「はい!」
二人が話す様子を眺めるエンマ大王は、既に日本酒を飲みながらカイラと仕事の件で話していた。
ナツメ「あ、あの!着付けを手伝ってくれて、本当にありがとうございました!」
A「いえ、お礼は大丈夫ですよ。ナツメちゃんの喜ぶ顔が見れただけで私は十分です」
すると、いつの間にか彼女の背後に先程までカイラと話していたエンマ大王が居る。
ナツメ「(何だろう...?)Aさんの後ろに....」
そう言い掛けたナツメに対して、エンマ大王は自身の人差し指を唇に当てて“言うなよ?”という意思表示をしていた。
A「ナツメちゃん?どうしました....?」
言い掛けたナツメに少し恐怖を感じて、怖がるAを突然エンマ大王が抱き締める。
A「わっ?!な、何してるんですか?!」
エンマ「ん?お前が驚くとこ見たかっただけだ」
悪戯っ子のように微笑んだエンマ大王を見て、彼女は少しホッとした表情を浮かべた。
エンマ「相手が俺だから安心したろ?」
A「し、してませんよ!いきなり抱き締められて、本当に驚いたんですから!!」
エンマ「そう怒るなって」
二人を見てるナツメは、フフっと笑う。
ナツメ「(Aさん、ああ言ってるけどエンマ様から離れないんだよなぁ....)」
幸いな事に、アキノリやトウマは間近で奏でられてる演奏に夢中になって見ている為かA達のことには気付いていない。
A「それで....朝言ってた『やりたい事』って宴会なんですか?」
エンマ「あぁ。たまには、こういうのも悪くは無いと思ってな」
そんな会話をする二人の姿がナツメには、鴛鴦夫婦にしか見えなかったという。
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作者名:カナミ | 作成日時:2024年2月7日 19時