【87】・ドキッとする仕草。 ページ21
『Aside』
仕事の方に戻った私は、さっきの事が頭から離れない。
髪を直してくれた時、エンマの表情とか瞳とかが少しキュンときた。
本人のエンマは無意識だと思うけど、突然あんな風に接しられたらドキドキする。
A「(あの顔してくるの狡いなぁ....)」
ボーッとしていると、八鳳さんが私の肩をトントンと叩く。
八鳳「A?そんな顔して、どうしたの?」
A「い、いえ....何でも無いです」
八鳳「何でも無いって言ってる割には、さっきから手止まってるよ?」
手元を見てみると、宿帳等を持ったまま私はボーッとしていたみたいだ。
八鳳「Aがボーッとしてるなんて珍しいね」
A「そうですか....?」
八鳳「宿帳持ったまま固まってたから、ちょっと心配したよ」
自分でも気付かない程、考え込んでいたらしい。
八鳳「そういや、着付けはどうだった?」
A「上手く着付けられましたよ!ナツメちゃん、とても喜んでくれたんです!」
八鳳「良かったじゃん。あの子も、Aにして貰えて嬉しかったと思うよ」
そう言われて、嬉しさが込み上げる。
A「(あ....さっき会った時、ナツメちゃんは口紅落としてなかったっけ)」
もし、笹色紅に興味を持ってくれていたら良いなぁと思った私は仕事に取り掛かる。
八鳳「予約したお客の部屋案内と宿帳の確認。今日は簡単な仕事内容だけ。まぁ、通常通りで何より」
A「昨日は大変でしたよ」
八鳳「大浴場の掃除なんて地獄過ぎだよ。左手を使い過ぎて腱鞘炎になってるし。Aは、“別のこと”で腰痛になってるけどね〜」
A「八鳳さん!言わないでいいです!」
ケラケラと笑う八鳳さんは、軽い返事を返した。
こんなに揶揄われるとは思ってなくて、戸惑いを感じながら仕事を続けていた。
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作者名:カナミ | 作成日時:2024年2月7日 19時