【85】・素が出てた瞬間。 ページ19
『Noside』
お昼頃、旅館に帰って来たナツメ達は部屋で過ごしてたエンマ大王達と共に食事処へ行く。
既にナツメは着物から普段着に着替えている。
トウマ「口紅だけは落とさなかったんだね」
薄くて淡い赤色の口紅だけは残していたナツメ。
ナツメ「これだけは落とすの勿体無くてさ〜」
アキノリ「飯食べたら、すぐ落ちるんじゃないか?」
ナツメ「良いの!この口紅、気に入ってるから!」
Aが綺麗に着付けてくれた事にも、凄く喜んでいて初めて見た笹色紅の事も気に入ってる様子。
トウマ「確かに、その色はナツメに似合ってるよ」
ナツメ「えっ?ほ、本当に?」
トウマ「うん、可愛いよ」
微笑むトウマに対して、ナツメは顔を赤くする。
そして、取り残されてたアキノリが不貞腐れた表情をしてると向かい側に居るAに気付く。
アキノリ「Aさん!!」
ナツメ「バカ、声デカいって」
何やら、家族連れの客と楽しそうに話しているようでその家族の子供達にも囲まれている。
カイラ「子供からも人気なんだな」
エンマ「時間が空いてたら、よく子供達の遊び相手になってるそうだ。何でも付き合ってくれるAは、子供に懐かれる事が多いらしい」
Aを愛おしそうな瞳で眺めている彼は、そう言って笑みを浮かべる。
暫くの間、全員が歩みを止めて見ていた。
ナツメ「(めちゃめちゃ癒しなんですけど....)」
家族連れの客と談笑も終わって、最後に子供達の頭を撫でるとナツメ達の元へ来た。
A「これから何処へ行かれるのですか?」
ナツメ「お昼ご飯を食べに行くので、またあの食事処です!Aさんは、子供達にも大人気ですね!」
A「いえ、そんな大人気だなんて...お世辞でも凄く嬉しいです」
謙遜する彼女の髪が少し乱れてる事に気付き、そっと近付いて直すエンマ大王。
エンマ「A、もう少し素直に受け取れよ。ナツメが言った事は、世辞じゃ無いと思うぞ」
彼女の髪を直しながらも、エンマ大王は優しい口調でそう言った。
A「謙遜なんて全然してませんよ....」
エンマ「結構してる。........良いか?お前は、自分が思ってるよりも優しくて皆に好かれてるんだからな」
A「は、はい....」
渋々といった感じで頷くAは、エンマ大王から離れまた仕事に戻って行った。
この時、アキノリやトウマはエンマ大王が無意識にも素が出た事に驚いて謎が深まったと思っていた。
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作者名:カナミ | 作成日時:2024年2月7日 19時