【79】・イチャつくのは少しだけ。 ページ13
『Noside』
抱き締められてるAは、困った顔でエンマ大王のことを見上げていた。
A「あの、離して欲しいです」
エンマ「もう少し良いだろ」
A「良くないですよ...」
未だに気付かないナツメ達を見ながら、戸惑うAに顔を近付けた。
互いの唇が触れるか触れないかの距離で、思わず目を逸らした彼女の頬を撫でる。
エンマ「キスされると思ってるか?」
A「お、思って無いですって!もう終わり!離れてください!」
肩を押して彼を離れさせたAは、慌てたように言い恥ずかしさで顔を俯かせた。
とても満足した様子のエンマ大王は、彼女を宥める為頭を撫でていた。
A「...頭撫れば許されると思ってるんですか」
エンマ「何だ?嫌だったか?」
そう言った後、黙り込むAだったけど彼の服の裾をギュッと掴む。
A「嫌では無いですけど....」
その仕草が、あまりにも可愛過ぎて手を止める彼。
A「大王様?」
エンマ「本当、お前は....頼むから自分が可愛いって事を自覚してくれ...」
彼女の頭に自身の手を置いたまま、エンマ大王は顔を赤くしている。
エンマ「Aの可愛さには慣れねぇな」
照れ隠しのつもりなのか、外方を向いて笑っていた。
A「私も大王様の格好良さには慣れませんよ?」
と言うと、さらにエンマ大王の顔が赤くなる。
エンマ「最近お前、Sっ気あるよな」
A「たまには、私だって強気でいきたいですもん」
昨夜の事もあり、Sっ気の彼女が少し性癖に刺さってるエンマ大王だった。
A「それにしても、あんなに喜んでくれて私も凄く嬉しいです。着物を選ぶセンスもありますし」
エンマ「あの着物、ナツメが選んだのか?」
A「そうですよ。あの着物に描かれてる姫小百合の花言葉は、『飾らぬ美』と『好奇心の芽生え』」
エンマ「まさにナツメと合ってるな」
ナツメの純粋無垢で飾らない性格を見て、そう思ったA。
楽しそうな三人達は、先程の一部始終と今話していた事にも気付かずに話していた。
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作者名:カナミ | 作成日時:2024年2月7日 19時