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『Noside』
そして、最上階の奥にある一番広くて豪華絢爛に彩られた部屋に着く。
A「料理が出来たら、お呼び致しますので。お嬢さん達と一緒に来てください」
部屋の案内を終えて、別の場所へ行こうとする彼女を呼び止める。
エンマ「A」
普段よりも少し低くなった声に、Aは胸が高鳴るのを感じた。
A「どうしました?」
エンマ「仕事が終わったら、俺の部屋に来い」
間を置いて、やっとその意味に気付く。
A「.....もう少し、浪漫のある誘い方をして欲しいです。大王様、いつも急ですし強引過ぎます」
エンマ「強引な方が好きなんだろ?前来た時なんて、折角優しくしてやろうと思ったのにお前が俺を煽るから.....」
A「あー!言わないでいいですから!!」
顔を林檎のように真っ赤にさせるAに対して、エンマ大王は堪らなくご満悦な様子。
A「(この人、完全に面白がってる....)」
小さな溜息をついて、呆れながらも彼女は何処か嬉しそうな表情をしていた。
A「あと、お嬢さん達が居る前で私達の関係を仄めかす発言は控えて下さいね」
エンマ「分かってる。でも、俺は別にお前との関係を知られても問題ねぇけどな」
A「大王様?」
黒い笑みを浮かべると、エンマ大王は「冗談」と言って彼女の頭を撫でた。
A「...では、私はこれで」
そう言って、足早に去って行くAの後ろ姿を眺めていたエンマ大王は密かに口角を上げる。
エンマ「(本当....可愛い奴だ)」
そんな思いとは裏腹に、ギラッと光る黄金色の瞳は言うなれば獲物を狙う獣のようだった。
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作者名:カナミ | 作成日時:2023年11月17日 1時